日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
職場の「苦手な人」との関わり方。HSPが自分の心を守りながら働くヒント
- 高圧的な態度で、こちらの意見を頭ごなしに否定する上司。
- いつも不機嫌で、周りに当たり散らす同僚。
- 何かとマウントを取ってきて、こちらの自信を奪ってくる先輩。
職場に、どうしても「苦手だな…」と感じる人はいませんか?
特に、人の感情や場の空気に敏感なHSP(とても繊細な人)の方にとって、こうした存在は、心をすり減らす大きなストレス源になりますよね。 出勤するのが憂鬱になったり、その人の顔色ばかりうかがって、仕事に集中できなかったり…。
「あの人さえいなければ、この職場は最高なのに」 そう思ってしまうのも、無理はありません。
しかし、アドラー心理学は、「他人と過去は変えられない。変えられるのは、自分自身だけ」だと教えてくれます。 相手を変えようとするのではなく、あなたと相手との「関係性」と、あなた自身の「心の持ち方」を変えること。そこに、心が楽になるヒントが隠されています。
1. 心の境界線を引く:「これは、相手の課題」
まず、最も大切なのが「課題の分離」です。
相手が不機嫌なのも、高圧的なのも、マウントを取ってくるのも、それは相手自身の課題です。その人自身のライフスタイル(性格)や、その人が抱える問題であって、あなたのせいではありません。
あなたは、相手の機嫌を取ったり、感情のゴミ箱になったりする必要は、一切ないのです。 心の中で、そっと境界線を引いてみましょう。 「イライラしているのは、この人の課題。私の課題は、今日の仕事をきちんと終わらせること」と。 この境界線が、あなたを相手の感情の嵐から守る、強力なバリアになります。
2. 相手の「目的」を想像してみる
次に、相手の行動の「目的」を考えてみます。
人は、相手を困らせようとして、問題行動を起こしているのではありません。 その行動を通して、何らかの(歪んだ)目的を果たそうとしているのです。
- 高圧的な上司 → 自分の権威を示し、「有能だ」と思われたいのかもしれない。
- 不機嫌な同僚 → 「私はこんなに大変なんだ」とアピールし、特別扱いを求めているのかもしれない。
- マウントを取る先輩 → 自分の劣等感を隠し、優越性を感じて安心したいのかもしれない。
相手の行動を「嫌がらせ」と受け取るのではなく、「この人も、自分なりのやり方で、必死に自分の価値を証明しようとしているんだな」と捉え直すと、不思議と、腹立たしい気持ちが少しだけ和らぎます。 相手の土俵に乗らず、冷静に対応する余裕が生まれるのです。
3. 自分の「貢献」にだけ集中する
相手を変えようとしたり、相手の評価を気にしたりするのをやめ、意識を「自分にできる貢献」だけに集中させましょう。
職場は、仲良しグループである必要はありません。 仕事という「共通の課題」を達成するために協力する、「仲間」がいる場所です。
挨拶をする、自分の仕事に責任を持つ、必要な報告・連絡・相談を丁寧に行う、誰かが困っていたら、自分にできる範囲で手伝う。
あなたがやるべきことは、ただ、それだけです。 相手に好かれようとする必要も、相手を打ち負かそうとする必要もありません。 ただ、自分の役割を、淡々と、誠実に果たす。
その「貢献感」が、あなたに「自分は、この職場にいていいんだ」という、揺るぎない自信と安心感を与えてくれます。
苦手な人との関わりは、心を消耗します。しかし、それは同時に、あなたの「対人関係力」を磨き、自分軸を確立するための、またとないトレーニングの機会でもあります。
もし、どうしても心が苦しく、一人ではどうしようもないと感じたら。 カウンセリングは、あなたの心を安全に守りながら、具体的な関わり方を一緒に考え、練習していく場所です。 一人で戦わず、いつでも頼ってくださいね。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 LINE公式アカウントでは、今後も皆さんの日々の悩みに役立つヒントを配信していきます。ぜひ、友だち追加をしてくださいね。
コメント