「なぜ?」と問うのをやめ、「どうしたら?」と問い始めた時、人生は動き出す

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「なぜ、こうなってしまったんだろう…」という、過去への迷路

仕事で、思わぬ失敗をしてしまった時。 「なぜ、あの時、あんなミスをしてしまったんだろう…」 「なぜ、もっとちゃんと確認しなかったんだろう…」

大切な人と、すれ違ってしまった時。 「なぜ、自分は愛されなかったんだろう?」 「なぜ、あの人は自分のことをわかってくれないんだろう?」

この「なぜ?」という問いは、まるで出口のない迷路のように、私たちの思考を、変えることのできない過去へと引きずり込み、同じ場所をぐるぐるとさまよわせます。 原因がわかったところで、タイムマシンに乗って、過去に戻ることはできません。原因探しは、一見すると、問題解決のための真摯な態度に見えるかもしれません。しかし、多くの場合、それは私たちを無力感と自己嫌悪の沼に、さらに深く沈めていくだけなのです。

その問いは、過去を向いているか、未来を向いているか

アドラー心理学は、「問いの質」が、人生の質を決める、と考えます。 そして、私たちの問いかけは、大きく2つの方向に分けられます。

  • 「なぜ?(Why?)」の問い これは、過去を向いた問いです。原因を追及し、時には「犯人」を探し出そうとします。この問いがもたらすのは、後悔、自己弁護、他者への責任転嫁、そして「もう、どうしようもない」という無力感です。
  • 「どうしたら?(How?)」の問い これは、未来を向いた問いです。これからどうするのか、という解決策を探求し、目的を達成するための具体的な方法を考えます。この問いがもたらすのは、希望、創造性、そして「自分には、未来を変える力がある」という自己決定感です。

私たちは、どちらの問いを、自分自身に投げかけるか、常に「選択」することができるのです。

「どうしたら?」が、あなたに与える3つの力

「なぜ?」から「どうしたら?」へと、心の中の問いのスイッチを切り替えるだけで、あなたは、3つの大きな力を手に入れることができます。

1.人生の“主人公”であるという、主体性 「どうしたら?」と問うことは、「この状況を、自分の力で、これから変えていく」という、力強い自己決定性の宣言です。過去や他人のせいにする「被害者」の立場から、自分の人生を創造していく「主人公」の立場へと、あなたを連れ戻します。

2.解決策を見つけ出す、創造性 「なぜ?」という問いは、一つの「正解」を探そうとして、思考を停止させがちです。しかし、「どうしたら?」という問いには、無限の答えがあります。「こんな方法もあるかもしれない」「あの人に協力してもらえないだろうか」と、あなたの脳は、未来のあらゆる可能性を探し始め、驚くほど創造的になります。

3.次の一歩を踏み出す、勇気 「どうしたら?」という問いの根底には、「私たちには、この問題を解決する力がある」という、未来への信頼があります。この、自分と仲間への信頼こそが、アドラー心理学の言う「勇気づけ」であり、私たちに次の一歩を踏み出す、具体的な力を与えてくれるのです。

今日から始める、「問い」の魔法

では、具体的にどうすれば、「問い」の質を変えることができるのでしょうか。

ステップ1:自分の「なぜなぜ病」に、まず気づく 困難な状況に陥った時、「なぜ…」という言葉が頭に浮かんだら、「あ、いけない。また過去への迷路に入り込もうとしているな」と、客観的に気づくことから始めましょう。

ステップ2:強制的に、「では、どうしたら?」と付け加える 「なぜ、こんなミスをしたんだろう…」と考え始めたら、その直後に、意識してこう付け加えるのです。 「…では、どうしたら、このミスをリカバリーできるだろう?」 「…では、どうしたら、次はもっとうまくやれるだろう?」 この、強制的な問いの転換が、思考のベクトルを、過去から未来へと、ぐいっと動かしてくれます。

ステップ3:完璧な答えではなく、小さな“一歩”を探す 「どうしたら?」の答えは、壮大な解決策である必要はありません。 「どうしたら、今の気分を少しだけ変えられるだろう?」→「とりあえず、一杯の温かいコーヒーを淹れてみよう」 「どうしたら、この問題を解決できるだろう?」→「まずは、信頼できる人に、状況を話してみよう」 今、ここからできる、具体的で、ほんの小さな行動を見つけること。 その一歩が、停滞していたあなたの人生の歯車を、再びカチリと、確かに動かし始めるのです。


長年の癖で、つい「なぜ?」と自分や他人を責める問いかけばかりしてしまう。あるいは、「どうしたら?」と問いかけても、何も答えが浮かばず、途方に暮れてしまう。そんなこともあるでしょう。

カウンセリングは、あなたの「なぜなぜ病」の背景にあるライフスタイルを探求し、あなたを過去に縛り付けている思い込みを解きほぐす場所です。そして、未来志向の建設的な問いかけを習慣にし、ご自身の力で人生を動かしていくための、具体的なトレーニングをサポートします。


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