親がすべきは「戦わない」勇気

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。


「早くしなさい!」は、もはやBGM?

「何度言ったら分かるの!」 「いい加減に、ゲームやめなさい!」

朝の食卓、夕食後のリビング、家の中の至るところで、今日も繰り返されるこのセリフ。 言うことを聞かない子どもに、こちらの堪忍袋の緒がぷつりと切れて、ついカッと大声を出してしまう…。そして、後から自己嫌悪。子育て中の親御さんなら、一度は経験のある「あるある」ではないでしょうか。

我が家も、中学二年生の長男を筆頭に、小五、小三、そして幼稚園年長の次男まで、四人の子どもたちがそれぞれのメロディーを奏でるオーケストラのよう。指揮者である私の言うことなど、BGM程度にしか聞いていないこともしばしばです(笑)

その「反抗」、実は“招待状”かもしれません

では、なぜ子どもは、親が困ると分かっているのに、わざと挑発するような態度をとるのでしょうか。

アドラー心理学では、その行動の裏には子どもなりの「目的」が隠れていると考えます。 一つは、「どんな形でもいいから、注目してほしい」という甘えのサイン。 そしてもう一つ、特に厄介なのが、「この家の主導権は、私(僕)が握る!」という、親への“権力争い”への招待状です。

子どもが言うことを聞かない。親がイライラして怒鳴る。その瞬間、子どもの目的は達成されます。なぜなら、親の感情をコントロールできた、つまり「自分が勝った」と確信するからです。

一度この親子げんかという名のリングに上がってしまうと、ゴングはなかなか鳴りやみません。親が勝とうとすればするほど、子どもはさらに手強い挑戦者となって、次の戦いを挑んでくるのです。

親がすべきは「戦わない」勇気

では、この権力争いの招待状が届いたら、どうすればいいのでしょうか。 答えは一つ。その招待状は受け取らず、リングに上がらないことです。

  1. まずは、相手の土俵から降りる 「宿題やりたくないんだね」「ゲームが楽しいんだね」と、まずは子どもの言い分を否定せずに、事実として受け止めます。そして、「じゃあ、お母さんは先に洗い物してるね」と、その場をスッと離れてみる。嵐が過ぎ去るのを待つのです。

  2. それは誰の「課題」かを考える そもそも、宿題をやるかやらないかは、誰の課題でしょうか。宿題をやらずに困るのは、最終的には子ども自身です。親が「やらせよう」と必死になるのは、子どもの課題に土足で踏み込んでいる状態。親の役目は、子どもが自分でその「困った」という結果を引き受け、学ぶのを見守ること。そして、本当に助けが必要な時に、「どうしたらできるか一緒に考えようか?」と手を差し伸べられる存在でいることです。

  3. 「叱る」でも「褒める」でもなく、「勇気づけ」を 子どもが当たり前のことをした時、「ありがとう、助かるよ」と感謝を伝えてみてください。何かを頑張っていたら、結果がどうであれ「頑張っているね」とそのプロセスを認めてあげてください。 このような「勇気づけ」の言葉は、子ども自身が「自分は家族の役に立っている」「自分には困難を乗り越える力がある」と感じるきっかけとなり、自ら課題に取り組む活力を育みます。

子育てに「正解」はありません。しかし、親であるあなたの心が少し楽になる「視点」はあります。 「言うことを聞かない」のは、子どもが成長している証拠。でも、その関わり方で親が疲れ果ててしまっては、元も子もありません。

カウンセリングでは、親御さん自身のイライラの原因を探り、権力争いの土俵から降りる具体的な練習を一緒にしていきます。「子どものため」だと思っていたその悩みが、実はあなた自身の課題だったと気づくこともあります。

一人で抱え込まず、一度お話してみませんか。



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