日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
「なんて、自分はダメなんだ…」その声は、どこから?
先日、経営している会社で、取引先に送るメールの内容を大きく間違えてしまう、というミスを犯しました。幸い、すぐに気づいて事なきを得たのですが、その後の僕の心の中は、反省会という名の「自分責め」で嵐のようでした。
「どうして、あんな凡ミスを…」 「社長なのに、情けない」 「みんなに、どれだけ迷惑をかけたか…」
あなたも、何か失敗してしまった時、このように自分を厳しく責め立ててしまうことはありませんか? まるで、頭の中にもう一人の自分がいて、容赦なくダメ出しをしてくるような感覚。
私たちは、その声を聞くたびに、どんどん自信を失い、次の一歩を踏み出すのが怖くなってしまいます。
「自分を責める」ことの“目的”とは?
「ミスをした(原因)から、自分を責めてしまう(結果)」 私たちは、ついそう考えてしまいます。
しかし、アドラー心理学の「目的論」に立つと、景色は一変します。 もしかしたら、あなたは「何かを達成する目的のために、自分を責めるという行為を、無意識に選んでいる」のかもしれないのです。
その「目的」とは、一体何でしょうか?
- 課題からの逃避:「自分はダメだ」と落ち込んでいれば、その後の面倒なリカバリーや、未来の対策を考えるという、本当に向き合うべき課題から目をそらすことができます。
- 他者からの非難の回避:自分で自分をこれでもかと罰していれば、「これだけ反省しているのだから、もう誰も私を責めないで」という、周りへの予防線になります。
- 優越性の追求(歪んだ形):「こんなに深く反省できる自分は、なんて道徳的なんだ」という、歪んだ形での優越感に浸るため、という場合すらあります。
自分を責めることは、一見、反省しているように見えて、実は「次の一歩を踏み出さないための、巧妙ないいわけ」になっているのかもしれないのです。
ダメ出しの声に「ありがとう、でも大丈夫」と応える勇気
では、どうすればこのループから抜け出せるのでしょうか。 答えは、「不完全である勇気を持つこと」そして「自己受容」です。
ミスをした自分、失敗した自分。それも、紛れもない自分の一部です。 その自分に「×」をつけるのではなく、「そんな時もあるよね」と、そのままを丸ごと受け止めてあげる。これが「自己受容」です。
そして、過去の失敗を責めることにエネルギーを使うのではなく、「これから、どう貢献できるか?」に意識を切り替えるのです。 「この失敗から、何を学べるだろう?」 「次に同じことを起こさないために、何ができるだろう?」
過去は変えられません。でも、未来への行動は、今この瞬間から選ぶことができます。 自分を責める声が聞こえてきたら、こう心の中で応えてみてください。 「教えてくれてありがとう。でも、大丈夫。私は前に進むよ」と。
もし、あなたの中の「ダメ出しの声」が大きすぎて、どうしても前に進めないと感じたら、どうか一人で抱え込まないでください。 カウンセリングは、その声の正体(あなたのライフスタイル)を一緒に探り、自分を許し、未来へと歩き出す勇気を見つけるための場所です。
あなたは、あなたが思っているよりも、ずっと強く、優しい存在なのですから。
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お会いできるのを楽しみにしています。
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