日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
あなたは今、「ここにいていい」と思えていますか?
職場では、当たり障りのない会話はするけれど、本当の自分は出せずに、どこか浮いているような気がする。 友人グループの中にいても、自分だけがその輪に入れていないような、見えない壁を感じる。 家に帰ってきても、家族の中でさえ、なんだか心が休まらない。
この、特定の場所に限らず、人生のあらゆる場面でつきまとう、漠然とした疎外感。 「自分は、どこにいても歓迎されていないのではないか」「この世界に、自分の“居場所”なんてないんじゃないか」という、深く静かな孤独感。 あなたにも、そんな風に感じてしまうことはありませんか。
幸せの鍵、「共同体感覚」とは
アドラー心理学では、人の心の健康と幸福を測る、究極の目標として「共同体感覚」という言葉をとても大切にしています。
「共同体」とは、家族や職場といった小さな集団だけでなく、地域社会、国、人類全体、さらには過去から未来、動植物や無機物までをも含む、この宇宙に存在するすべてを指します。 そして「共同体感覚」とは、その果てしなく広大な共同体の中で、「自分はここにいていいんだ」と、心の底から安心して感じられる感覚(所属感)のことです。
あなたが感じている「居場所のなさ」は、まさにこの「共同体感覚」が、何らかの理由で感じられなくなっている、心からのサインなのです。
「所属感」は、誰かが与えてくれるものではない
では、どうすればこの「共同体感覚」を育むことができるのでしょうか。 多くの人は、「自分を受け入れてくれる、居心地のいい場所さえ見つかれば…」と考えます。しかし、アドラー心理学の答えは、その逆です。
「所属感」とは、誰かから与えられるものではなく、あなた自身が、共同体に対して“与える”ことによって、初めて得られるものなのです。
その“与える”ことこそが、「他者貢献」です。 「自分は、この共同体(周りの人々)の役に立っている」という、主観的な感覚である「貢献感」を抱けた時、私たちは初めて「自分には価値がある」と実感でき、その結果として「ここにいていいんだ」という確かな居場所の感覚を得ることができるのです。
「貢献感」という名の種をまく、小さな習慣
「貢献」と聞くと、何か特別なこと、自己犠牲を伴うような大変なこと、をイメージするかもしれません。しかし、アドラー心理学の言う貢献は、もっとささやかで、今日この瞬間から始められることばかりです。
あなたの心の中に「共同体感覚」という温かい木を育てるための、小さな「貢献感」の種まきを、いくつかご紹介します。
1.「見る」ことから始める まずは、あなたの周りの人に、意識的に関心を向けてみましょう。「あの人は、どんなことに困っているだろうか」「この職場が、もっと良くなるために、自分にできることはないだろうか」と。自分のことばかりに向いていた意識のベクトルを、少しだけ外に向けてみる。これが、すべての始まりです。
2.「挨拶」という、最もシンプルな貢献 自分から「おはようございます」「お疲れ様です」と声をかける。これは、相手の存在を承認し、「私はあなたを仲間だと認識していますよ」というメッセージを伝える、非常にパワフルな貢献です。
3.「感謝」を、言葉にして伝える 誰かに何かをしてもらった時、「ありがとう」という言葉を、少しだけ丁寧に伝えてみましょう。「〇〇さんが手伝ってくれたおかげで、本当に助かりました。ありがとうございます」。その感謝の言葉は、相手を勇気づけると同時に、あなたの心にも「自分は人との繋がりの中にいる」という温かさをもたらします。
4.「聴く」ことに徹してみる 誰かが話している時、自分の意見を言いたいのをぐっとこらえ、ただひたすらに、相手の言葉と感情に耳を傾けてみる。真剣に話を聴くことは、相手の存在を丸ごと受け止める、最高の貢献の一つです。
これらの習慣は、一見、地味で、即効性はないかもしれません。 しかし、この小さな貢献感の種まきを、毎日コツコツと続けていくことで、あなたの心の中には、少しずつ、しかし着実に「自分は、この世界とつながっている」「ここにいてもいいんだ」という、温かく、揺るぎない感覚が育っていくはずです。
居場所は、探すものではありません。 あなたが、あなたのいる場所で、自らの手で作り出していくものなのです。
頭ではわかっていても、疎外感の中で自分から行動を起こすのは、とても勇気がいることかもしれません。「どうせ、自分が何かしたって、何も変わらない」と、無力感に苛まれてしまうこともあるでしょう。 もし、あなたが「居場所がない」という孤独感から抜け出し、温かい人間関係の中で生きていきたいと願うなら、一度お話しに来ませんか。
カウンセリングは、あなたが安心して所属感を体験できる、最初の小さな「共同体」です。そこで、あなただけの「貢献」の形を見つけ、自分には価値があるのだと実感していくプロセスを、伴走者として丁寧にサポートさせていただきます。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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