日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
強迫的な思考のループから抜け出す3つの習慣
「あの時、あんなことを言わなければ…」 「鍵、本当にかけたっけ?」 「もし、病気になったらどうしよう…」
頭の中で、同じ考えが、壊れたレコードのようにぐるぐると回り続ける。 やめたいのに、やめられない。 そんな「強迫的な思考」のループに囚われて、心が疲れ果てていませんか?
その思考は、一見、あなたを悩ませる「敵」のように思えるかもしれません。 しかし、アドラー心理学の視点に立つと、その思考でさえも、あなたが何らかの「目的」のために、無意識に利用している「道具」だと考えます。
思考ループの「目的」とは?
では、その「目的」とは何でしょうか。 それは多くの場合、「人生の課題と向き合うことを先延ばしにする」という目的です。
- 失敗を恐れるあまり…「完璧な準備ができるまで考えよう」と、行動しないための言い訳にする。
- 対人関係が怖いあまり…「どう思われるか」を考え続けることで、人と関わるという本質的な課題から逃げる。
- 決断が怖いあまり…「もっと良い選択肢があるはずだ」と考え続けることで、責任を伴う決断を避ける。
強迫的な思考のループに囚われている間、私たちは「考えている」というアリバイを手にし、「行動しない」ことを自分に許しているのです。
このからくりに気づけば、道は見えてきます。 思考そのものを消そうとするのではなく、その思考を「使う必要」をなくすこと。そのための、今日からできる3つの習慣をご紹介します。
習慣1:「なぜ?」ではなく「これから、どうする?」と問いかける
思考のループにハマっている時、私たちは「なぜ、こうなんだろう?」と、過去の原因探しに終始しがちです。しかし、過去は変えられません。
この問いを、「これから、どうする?」という未来への質問に切り替えてみましょう。
「鍵、かけたかな?」 →(なぜ?と悩むより)「どうする?」→「心配なら、今、確認しに行こう。そして、これからは家を出る時に声出し確認をしよう」
「どうする?」という問いは、あなたを過去の堂々巡りから、未来への具体的な行動へと導いてくれます。
習慣2:「今、ここ」に貢献する
強迫的な思考は、「自分、自分」と、自己への関心が過剰になっている時に起こりやすくなります。
その意識を、そっと他者への貢献へと向けてみましょう。
特別なことである必要はありません。 目の前の家族に、温かいコーヒーを一杯淹れてあげる。 職場の同僚の仕事を、少しだけ手伝ってあげる。 道端のゴミを、一つ拾ってみる。
「ありがとう」と言われなくても構いません。「自分は、仲間の役に立っている」という、そのささやかな貢献感が、あなたを自己中心的な思考のループから解放し、心に安らぎをもたらします。 これが、アドラー心理学が最も大切にする「共同体感覚」を育むということです。
習慣3:「できていること」に光を当てる(勇気づけ)
思考のループに囚われている時、私たちは「できていないこと」ばかりに目を向けています。
今日一日を振り返って、「できていること」「できたこと」を、どんなに小さなことでもいいので、見つけてみてください。
「朝、ちゃんと起きられた」 「誰かに、挨拶ができた」 「今日も、一生懸命生きた」
これは、あなた自身への「勇気づけ」です。 自分を罰するのではなく、自分の努力を認め、祝福してあげる。 「自分はダメだ」という思い込みが、「自分も、なかなかやるじゃないか」という自己受容に変わった時、強迫的な思考は、その居場所を失っていくのです。
もし、あなたの思考のループが、あまりに苦しく、一人では抜け出せないと感じるなら。
それは、決してあなたの心が弱いからではありません。
カウンセリングは、あなたが、なぜその思考を使い始めたのかを優しく解き明かし、手放すための勇気を育む、安全な場所です。
一人で戦わず、ぜひ頼ってくださいね。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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