日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
言葉の“矢”が、心に刺さっていませんか?
同僚からの、棘のある嫌味。 上司からの、理不尽な叱責。 親からの、価値観を押し付ける一言。 友人からの、悪気のない(ように見える)マウンティング。
そうした言葉が、まるで小さな“矢”のように、あなたの心に突き刺さり、一日中、時には何日も、チクチクと痛み続ける。 「気にしなければいい」と頭ではわかっているのに、どうしても気になってしまう。そして、いつの間にか「自分が弱いからだ」「自分が何か、悪いことをしたからだ」と、自分自身を責めてしまう…。 そんな苦しいループに、陥ってはいませんか。
なぜ、あなたは“矢”を受け取ってしまうのか?
そもそも、なぜ他人の言葉が、これほどまでに私たちの心を傷つけるのでしょうか。 それは、私たちが相手の言葉を、自分に向けられた「評価」や「真実」だと、真正面から、素直に受け止めてしまうからです。
しかし、アドラー心理学の視点から見れば、相手があなたに投げつけてくる嫌な言葉は、あなた自身の問題ではなく、100パーセント「相手の問題(相手の課題)」なのです。 多くの場合、相手は、自分の中にある劣等感や不安、満たされない承認欲求といった“心のゴミ”を、あなたに言葉の矢として投げつけることで、一時的にスッキリしようとしているに過ぎません。それは、あなたとは本来、何の関係もないことなのです。
心のバリア、「聞き流し」スキルを身につける
この、理不尽な言葉の矢から、あなたの心を守るための、非常に効果的な技術があります。 それが、「聞き流し」スキルです。
これは、相手を無視したり、無関心になったりすることではありません。相手の言葉の“毒”だけを無力化し、自分の心の平穏を守るための、積極的で、知的な心の護身術なのです。 その基本原理は、アドラー心理学の核心である「課題の分離」です。
- 「嫌なことを言う」のは、相手の課題。
- 「それを、どう受け止めるか(あるいは、受け止めないか)」は、あなたの課題。
【聞き流し・実践トレーニング】
トレーニング1:心の中で“実況中継”する 嫌なことを言われた瞬間に、心の中で、こう実況してみましょう。 「おおっと、〇〇選手、ここで伝家の宝刀、嫌味攻撃だー!何か、満たされない思いがあるのでしょうか!」 馬鹿げているように聞こえるかもしれませんが、こうすることで、あなたは感情的に反応するのではなく、相手の行動を客観的に観察する「分析者*になることができます。
トレーニング2:“透明な盾”をイメージする 相手との間に、一枚の透明で、頑丈な盾があることをイメージしてください。相手の言葉の矢は、その盾に「カキン!」と音を立てて弾かれていく。あなたの心には、決して届かない。この心理的なバリアを、意識的に張るのです。
トレーニング3:相手の“目的”を翻訳する 「この人は、私を打ち負かして、優越感に浸りたいんだな」「この人は、自分の不安を、私にぶつけて安心したいんだな」 相手の言葉の裏にある、未熟な「目的」を、心の中でそっと翻訳してあげましょう。相手が、まるで助けを求めている幼い子どものように見えてくると、怒りではなく、むしろ憐れみに近い感情さえ湧いてくるかもしれません。
聞き流し中の、上手な“あいづち”
心の中で聞き流しつつも、表面上は、どう対応すればいいのでしょうか。 ポイントは、相手の土俵には、絶対に上がらないこと。同意も、反論もせず、ただ事実として受け止める、以下のような「あいづち」が有効です。
- 「へえ、そうなんですね」
- 「なるほど、そういう考え方もあるんですね」
- 「(にっこり笑って)ありがとうございます」
あなたが感情的に反応しないことに、相手は拍子抜けし、やがて攻撃の的を、別の人に変えるでしょう。 あなたの心の平穏は、他人の言葉によってではなく、あなた自身の「受け止め方」によって決まるのです。その、心のコントロール権を、他人任せにするのは、もうやめにしませんか。
頭ではわかっていても、いざ嫌なことを言われると、カッとなってしまったり、深く傷ついてしまったりする。どうしても、相手の言葉を真に受けてしまう。そのお気持ち、よくわかります。
カウンセリングは、あなたがなぜ他人の言葉に過剰に反応してしまうのか、その背景にあるあなたのライフスタイル(信念)を安全な空間で探求する場所です。そして、「課題の分離」を徹底し、「聞き流し」スキルを自在に使いこなせるようになるための、具体的な心のトレーニングを、伴走者としてサポートさせていただきます。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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