親との間に「心の距離」を上手に置く方法

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

親との間に「心の距離」を上手に置く方法

「いくつになっても、親は親だから」 「心配してくれているのは、分かっているんだけど…」

親からの過干渉や、良かれと思っての助言に、心が重くなったり、息苦しくなったりすることはありませんか? 感謝の気持ちがある一方で、会うと疲れてしまったり、電話が鳴るだけで、少し憂鬱になったり…。

それは、あなたが親不孝なのでも、冷たい人間なのでもありません。 あなたと親との間の「心の境界線(バウンダリー)」が、曖昧になっているサインなのです。

子どもにとって、親は最初の「社会」であり、その関係性は、私たちの生き方(ライフスタイル)の土台となります。だからこそ、大人になった今、意識的に、健全な「心の距離」を築き直すことが、あなたがあなた自身の人生を生きる上で、とても大切になるのです。

「あなたの課題」と「親の課題」を分ける

そのための、最も重要な鍵が、アドラー心理学の「課題の分離」です。

物理的に距離を置くことだけが、解決策ではありません。 たとえ同居していても、「これは、誰の課題か?」という境界線を、心の中に、はっきりと引くのです。

  • あなたが、どんな仕事を選び、誰と結婚し、どんな人生を送るか。それは、最終的にあなたが結果を引き受けるべき、「あなたの課題」です。

  • 親が、それに対してどう思うか、心配するか、口を出すか。それは、親自身の価値観や不安から来る、「親の課題」です。

私たちは、この「親の課題」まで、自分の責任であるかのように背負い込み、「親を心配させてはいけない」「親の期待に応えなければ」と、自分を追い詰めてしまいます。 しかし、あなたは、親の機嫌や不安の責任を負う必要はないのです。

罪悪感を手放す、3つのステップ

「課題の分離」をしようとすると、必ずと言っていいほど、「罪悪感」や「後ろめたさ」という感情が顔を出します。 その感情と上手に付き合い、健全な距離を保つための、3つのステップをご紹介します。

1. 「期待に応えない勇気」を持つ

まず、「自分は、親の期待を満たすために生きているのではない」と、覚悟を決めることです。 これは、親を無視したり、見捨てたりすることではありません。 一人の自立した個人として、自分の人生の決定権は、自分にある、と宣言することです。 これが、「嫌われる勇気」の、第一歩です。

2. 「私メッセージ」で、敬意をもって伝える

親の意見と違う考えを持つ時、「でも」「だって」と反論するのではなく、「」を主語にして、あなたの気持ちや考えを伝えてみましょう。

「お母さん(お父さん)が心配してくれる気持ちは、とても嬉しいよ。私は、こう考えていて、一度、自分の力で挑戦してみたいんだ」

これは、相手の気持ちを尊重(敬意)しつつ、自分の課題を主張する、対等な「横の関係」のコミュニケーションです。

3. 「貢献」で、関係を再構築する

親の言う通りにすることが、唯一の「親孝行」ではありません。 あなたが、自分の人生を幸せに生き、自立した個人として、親に関わること。それこそが、最大の「貢献」です。

たまに顔を見せる、電話で近況を話す、誕生日を祝う…。 支配・被支配の関係ではなく、一人の大人として、あなたにできる範囲の貢献を続けることで、新しい、対等な親子関係を再構築していくのです。


親との間に「心の距離」を置くことは、決して、親との縁を切ることではありません。 むしろ、お互いが自立した個人として、より良い関係を長く続けていくために、不可欠なプロセスです。

もし、あなたが罪悪感に苛まれたり、どう境界線を引けばいいか分からなくなったりしたら。 カウンセリングは、あなたの心を整理し、勇気を持って一歩を踏み出すためのお手伝いをする場所です。 あなたは、あなたの人生の主人公。その大切な物語を、誰にも明け渡す必要はないのですから。


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