日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです！ 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
心に貼りついた、一枚の“レッテル”
「背が低いから、人から軽く見られるに違いない」 「学歴が高くないから、どうせ、大きな仕事は任せてもらえない」 「人見知りだから、自分には、深い人間関係なんて築けるはずがない」
私たちは、自分の心の中にある、これらの「コンプレックス」を、まるで自分という人間に貼られた、決して剥がすことのできない“レッテル”のように感じてしまいます。 そして、そのレッテルこそが、「だから、自分はダメなんだ」という、あらゆる自己否定の、揺るぎない根拠になってしまっているのです。 そのレッテルは、本当に、あなたの価値を決めるものなのでしょうか。そして、それは、あなたの人生から、何かを奪うだけのものなのでしょうか。
その“欠点”が、あなたを努力させたのでは？
ここで、アドラー心理学からの、全く新しい視点を提案します。 アドラーは、「人は誰しも、何らかの劣等感を抱えている」と考えました。そして、重要なのは、その劣等感をどう扱うか、であると説いたのです。
アドラー心理学には「補償」という考え方があります。これは、人は、自分の劣っていると感じる部分を補おうとして、特別な努力をする。その結果、かえってその部分が、人並み以上に優れた長所に転化することがある、という、まるで魔法のような現象のことです。
古代ギリシャのデモステネスは、生まれつき病弱で、吃音に悩んでいましたが、それを克服するために、口に小石を含んで発声練習をするなどの猛練習を重ね、ギリシャ一の雄弁家になった、という有名な逸話があります。 あなたのコンプレックスこそが、これまであなたを努力させ、成長させてきた、最大の“原動力”だった、ということはないでしょうか。
「言い訳」にするか、「バネ」にするか
しかし、注意しなければならないことがあります。 劣等感が、常に私たちを成長させてくれるとは限りません。 アドラー心理学では、「劣等感」と「劣等コンプレックス」を、明確に区別します。
- 劣等感（成長のバネ） 「背が低いから、他の魅力で勝負しよう。ファッションを研究したり、会話を磨いたりしよう」 これは、劣等感を、自分を向上させるためのエネルギーとして使っている、健全な状態です。
- 劣等コンプレックス（課題からの言い訳） 「背が低いから、どうせ自分はモテないんだ」 これは、劣等感を、「恋愛という人生の課題に取り組まなくてもよい」という言い訳として使い、行動しない自分を正当化している、不健全な状態です。
コンプレックスそのものが、問題なのではありません。 あなたが、そのコンプレックスを、どう“使う”と決めているか。その「目的」こそが、あなたの人生を、天国にも、地獄にも、変えうるのです。
コンプレックスを、最高の“贈り物”に変える方法
では、どうすれば、コンプレックスを「言い訳」ではなく、自分と誰かを幸せにする「贈り物」に変えることができるのでしょうか。
ステップ１：まず、そのコンプレックスを持つ自分を、丸ごと受け入れる 「背が低い自分は、ダメだ」と否定するのをやめましょう。「そうだ、自分は背が低い。それが、今の私という事実だ」と、まずはありのままの自分を、良い悪いの判断をせずに、認めてあげる（自己受容）のです。
ステップ２：「だからこそ、できること」を探す 「〇〇だから、できない」という思考停止をやめ、「〇〇だからこそ、自分にできる貢献は何か？」と、問いを180度、転換してみましょう。 「人見知りだからこそ、一対一で、人の話を深く、丁寧に聴くことができる」 「大きな失敗をした経験があるからこそ、同じように悩んでいる人の気持ちに、心から寄り添うことができる」
ステップ３：あなたの“弱さ”で、誰かを勇気づける あなたのコンプレックスや、それを乗り越えようと奮闘する姿は、同じような悩みを抱える人々にとって、最高の「勇気づけ」になります。あなたが自分の弱さを、勇気をもって開示する時、それは、あなたと他者を繋ぐ、温かい「共感」の橋になるのです。
あなたが、人生で最も呪わしい、忌まわしいと思っていた、そのコンプレックス。 視点を変えれば、それは、あなたを、あなただけのユニークな存在たらしめ、他者に貢献するための、宇宙からの最高の“贈り物”だったのかもしれません。 その贈り物の包装紙を、今日、あなた自身の勇気で、開けてみませんか。
長年のコンプレックスは、自分の一部になりすぎていて、そのポジティブな側面を見出すのは、とても難しいことかもしれません。「言い訳」にしているとわかっていても、そこから抜け出す勇気が出ない、ということもあるでしょう。
カウンセリングでは、あなたのコンプレックスが、あなたのライフスタイルの中で、どんな「目的」を果たしているのかを安全な空間で一緒に探求します。そして、そのコンプレックスを、あなただけの「価値」や「貢献」へと転換していく、その創造的なプロセスを、伴走者としてサポートさせていただきます。
初回カウンセリング（オンライン）はこちらからお申し込みいただけます。
お会いできるのを楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 LINE公式アカウントでは、今後も皆さんの日々の悩みに役立つヒントを配信していきます。ぜひ、友だち追加をしてくださいね。
コメント