日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
深刻な顔で、悩んでいませんか?
仕事でミスをしてしまい、この世の終わりのように落ち込んでいる。 パートナーとの些細な喧嘩を、何日も根に持って、眉間に深くしわを寄せている。 自分の欠点ばかりが気になって、鏡の前で「どうして自分はこうなんだろう」と、深刻な顔でため息をつく。
私たちは悩みに直面した時、つい「真剣に、深刻に悩むことこそが、誠実な態度だ」と思い込んでしまいます。しかし、その深刻さは、本当に問題解決の役に立っているのでしょうか。 むしろ、どんどん視野を狭くし、自分をさらに追い詰め、行動するエネルギーを奪っているだけ、ということはないでしょうか。
アドラー心理学と「ユーモア」の、意外な関係
アドラー心理学と聞くと、少し堅苦しいイメージがあるかもしれません。しかし、実はアドラー心理学は「ユーモア」を、人が健康的に生きるための、非常に重要な資質だと考えています。
アドラー自身、カウンセリングの場で好んでユーモアを用いました。なぜなら、ユーモアには、ガチガチに固まった心をほぐし、物事を全く違う角度から見ることを可能にする、驚くべき力があるからです。
悩みや問題にどっぷりと浸かり、一つの考えに囚われている状態から、ふっと距離を置き、「なんだ、そんなに大したことじゃないじゃないか」と客観的に眺めさせてくれる。この「視点の転換」こそが、あらゆる問題解決の、そして人生を軽やかに生きるための、第一歩なのです。
ユーモアは、最強の「勇気づけ」である
ユーモアの力は、アドラー心理学の中心概念である「勇気づけ」と、深く結びついています。
自分自身への勇気づけとして 何か失敗をしてしまった時、「なんて自分はダメなんだ」と鞭打つ代わりに、「あはは、見事にやらかしたな!いかにも人間らしくていいじゃないか」と、笑い飛ばしてみる。 自分の不完全さや欠点を、深刻な問題としてではなく、愛すべき「人間味」として捉え直す。これは、アドラーの言う**「不完全である勇気」**を、最も楽しく実践する方法の一つです。
他者への勇気づけとして 落ち込んでいる友人に対して、深刻な顔で正論を振りかざすよりも、クスッと笑えるような一言の方が、よほど相手の心を軽くすることがあります。 ユーモアは、人と人との間に「お前は間違っている(上から目線)」という「縦の関係」ではなく、「大変だよね、でも、なんとかなるさ(仲間意識)」という「横の関係」を築くための、最高の潤滑油になるのです。
日常に「笑い」を取り入れる、小さな練習
「でも、自分にはユーモアのセンスなんてないし…」 そう思う方もいるかもしれません。しかし、ユーモアとは特別な才能ではなく、練習によって誰もが身につけることができる、物事の見方を変える「知的な技術」です。
1.自分の「こだわり」を、笑ってみる あなたが「こうでなければならない!」と必死になっているこだわりを、少し離れた場所から眺めてみてください。「なんで私は、靴下の左右が揃っていないと、こんなに取り乱してしまうんだろう?」その、ちょっと滑稽な自分を、クスッと笑ってあげるのです。
2.「もしも」の視点を持ってみる 今の深刻な悩みを、「もしも、これが喜劇映画のワンシーンだとしたら?」「もし、10年後の自分がこの状況を見たら、なんて言うだろう?」と考えてみる。時間や空間の視点をジャンプさせることで、悩みの深刻さは、驚くほど相対的なものに見えてきます。
3.面白いこと、楽しいことに、意識的に触れる 普段から、自分が心から「面白い」と感じるものに触れる時間を作りましょう。お笑い番組、コメディ映画、落語、面白いエッセイ…。笑うことで心と体はリラックスし、新しい視点を取り入れる余裕が生まれます。
人生という、時に困難で、理不尽なこともある旅を、眉間にしわを寄せて歩くのか。それとも、鼻歌交じりで、時にはスキップしながら楽しむのか。 その選択の鍵を握る、最強の武器。それが「ユーモア」という名の、あなた自身の心の力なのです。
長年、真面目に、深刻に悩むことが癖になっている人にとって、自分の悩みを笑うことには抵抗があるかもしれません。ユーモアのセンスなんて、自分にはないと感じてしまう方もいるでしょう。 もしあなたが、その深刻さから抜け出し、もっと軽やかに人生を楽しみたいと願うなら、一度お話しに来ませんか。
カウンセリングは、あなたが抱えている悩みを、あなたのライフスタイルが作り出した一つの「物語」として、客観的に眺めてみる場所です。そして、そのシリアスな物語に、「ユーモア」という新しい光を当て、より創造的に生きていくための視点を、一緒に見つけていきましょう。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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