日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
ネガティブな感情との上手な付き合い方。不安や恐怖を「ただの訪問者」として観察する練習
不安、恐怖、嫉妬、悲しみ…。 私たちの心に、招いてもいないのに、ふらりとやってくる「ネガティブな感情」
多くの人は、この招かれざる客を、力づくで追い出そうとします。 「こんなことを感じてはダメだ!」と無理に蓋をしたり、お酒や買い物で気を紛らわしたり…。 しかし、不思議なことに、追い出そうとすればするほど、その客は、さらに居座り、大声で騒ぎ立てるのです。
アドラー心理学は、全く違うアプローチを提案します。 それは、戦うのではなく、まず、その「訪問者」を、ただ静かに観察してみる、ということです。
その「訪問者」は、あなたが招き入れたのかもしれない
アドラー心理学の「目的論」では、私たちの感情は、すべて何らかの「目的」のために、自分自身が作り出し、使っている道具だと考えます。
つまり、あなたの心にやってきた「不安」という訪問者は、あなたが無意識のうちに招き入れた客なのかもしれないのです。
では、その目的とは? 多くの場合、それは「人生の課題と向き合うことから、あなたを守る」という、不器用な親切心です。 「不安だから、挑戦できない」「怖いから、あの人に会えない」 その訪問者は、あなたが傷つくのを避けるための「言い訳」という、お土産まで持ってきてくれているのです。
「訪問者」をもてなす、3つのステップ
では、どうすれば、この厄介な訪問者と上手に付き合えるのでしょうか。 それは、追い出すのではなく、一度、礼儀正しい家の主(あるじ)として、丁寧にもてなしてみることです。
1. 訪問者に気づき、名前を呼ぶ
感情の渦に飲み込まれるのではなく、まず、その感情がやってきたことに気づきます。 そして、「おや、『不安さん』が、いらっしゃいましたね」「こんにちは、『恐怖くん』」と、心の中で名前を呼んであげます。 それだけで、あなたは感情そのものではなく、「感情を観察する側」に立つことができます。
2. 訪問者の話を、ただ聞く(観察する)
次に、その訪問者の様子を、評価や判断をせずに、ただ観察します。
「『不安さん』は、今、胸のあたりをザワザワさせているな」 「『恐怖くん』は、私の肩をガチガチに固くしているようだ」 「この訪問者は、私に何を伝えたいのだろう?何をさせたくないのだろう?」
戦うのをやめ、ただ観察し始めると、不思議と、訪問者の勢いは弱まっていきます。
3. 感謝して、選択権は自分にあることを伝える
訪問者の「あなたを守りたい」という不器用な目的を理解したら、感謝を伝えます。 「心配してくれて、ありがとう。私が傷つかないように、教えに来てくれたんだね」と。
そして、最後に、こう宣言します。 「メッセージは、確かに受け取ったよ。でも、最終的にどう行動するかを決めるのは、この家の主である私だ」と。
これが、アドラー心理学のいう「個人の主体性」です。 あなたは、感情の奴隷ではなく、感情を使いこなす、人生の主人公なのです。
ネガティブな感情は、あなたを苦しめる敵ではありません。 あなたに何か大切なことを知らせようとしている、「不器用な訪問者」なのです。
その訪問者を、観察し、メッセージを受け取り、敬意を払って見送る。 この練習を繰り返すことで、あなたは、感情に振り回されることなく、穏やかな心の主(あるじ)でいられるようになります。
もし、訪問者の声が大きすぎて、一人では対話が難しいと感じたら。 カウンセリングは、その対話に、私が同席し、安全に通訳をするような場所です。 いつでも、安心して頼ってくださいね。
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お会いできるのを楽しみにしています。
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