日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです！ 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
「もっと、もっと…」と、心が渇いていませんか？
仕事で褒められた。その瞬間は嬉しいけれど、すぐに「次もまた、期待に応えなければ」というプレッシャーに変わる。 SNSに投稿した後、何度も「いいね」の数を確認し、増えれば安心し、増えなければ不安になる。 「すごいね」「さすがだね」と言われるために、自分を追い込み、必死で頑張り続けている。 そして、人から認められない自分には、価値がないように感じてしまう。
この、他者からの承認を求める気持ちは、まるで喉の渇きのようです。 承認という名の水を飲んでも、その潤いは一瞬。すぐにまた、さらに強い渇きに襲われる。この終わりのないループは、もはや「麻薬」と呼ぶべき、危険な依存状態なのかもしれません。 あなたの心は、常に他者からの承認を求め、渇いてはいませんか。
なぜ、私たちは“承認”という麻薬に手を出すのか
なぜ、私たちはこれほどまでに、他者からの承認を求めてしまうのでしょうか。 その根底には、多くの場合、「ありのままの自分には、価値がない」という、根深い劣等感があります。
自分一人では、自分の価値を信じることができない。 だから、他者からの「あなたは価値があるよ」「あなたは素晴らしいよ」という言葉、つまり「承認」によって、自分の価値を外部から証明してもらうしかなくなるのです。
これは、自分の人生の評価軸、自分の価値を決める権利を、完全に他人に明け渡してしまっている状態です。 他人の気まぐれな評価や、移ろいやすい「いいね」の数に、あなたの幸福が左右される。これほど不自由で、危険な生き方はないでしょう。
他人の“コップ”で、自分の喉は潤せない
この、麻薬的な渇きから抜け出すための、最も重要で、強力な処方箋。 それが、アドラー心理学の中心的な考え方である「課題の分離」です。
冷静に、線を引いてみましょう。 他人が、あなたを承認するかどうか。それは、100パーセント「他者の課題」です。 相手がどんな基準で、どんな気分であなたを評価するかは、あなたには一切コントロールできません。
コントロールできないものを、コントロールしようとするから、苦しくなる。 それはまるで、他人の持っているコップの水を、必死で飲もうとしているようなものです。あなたの喉の渇きは、他人のコップでは、決して、永遠に潤すことはできないのです。 まず、「他者の評価」という、自分ではどうにもならないものに期待するのを、きっぱりとやめる。 これが、依存からの脱却の、勇気ある第一歩です。
自分の中から“泉”を湧き上がらせる方法
では、他者からの承認を求めずして、どうやって心の渇きを潤せばいいのでしょうか。 その答えは、外に水を求めるのではなく、あなた自身の内側に、尽きることのない「泉」を育てることです。
その泉の名は「貢献感」と言います。 アドラー心理学が示す、本当の幸福とは、「自分は、共同体（仲間である他者）の役に立っている」という、主観的な感覚の中にあるのです。
ステップ１：「承認」ではなく、「貢献」に、行動の目的を切り替える 「どうすれば、褒められるか？」ではなく、「どうすれば、目の前の人の役に立てるか？」へと、心のコンパスの針を合わせ直しましょう。
ステップ２：見返りを求めない、小さな貢献を始める 誰にも気づかれなくても構いません。職場で、誰かが使うコピー用紙を、そっと補充しておく。家族のために、黙って玄関の靴を揃えておく。 その「見返りを求めない行動」そのものが、「自分は、この共同体にとって有益な存在だ」という、静かで、しかし確かな自己価値の実感（貢献感）を、あなたの心に育んでいきます。
ステップ３：自分の価値を、自分で決める勇気を持つ 他人がどう評価しようと、関係ありません。 「私は、仲間である他者に貢献した。だから、私には価値がある」 あなた自身が、あなたに価値を認めてあげるのです。
他者からの承認という、すぐに蒸発してしまう水たまりを、必死で追い求める生き方を、もうやめにしませんか。 そして、あなた自身の「貢献」という行動によって、内側からこんこんと湧き出る、尽きることのない泉を育てるのです。 その時、あなたは初めて、承認への渇きから、完全に自由になることができるでしょう。
長年、承認欲求を満たすことで自分を支えてきた人にとって、それを手放すことには、強い恐怖を感じるかもしれません。「貢献」と言われても、何から始めていいかわからない、という方もいるでしょう。
カウンセリングでは、あなたがなぜそれほどまでに承認を求めてしまうのか、そのライフスタイルを安全な空間で一緒に探求します。そして、他者の評価軸ではなく、あなた自身の貢献感に基づいた、揺るぎない自己価値を築いていくお手伝いをさせていただきます。
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お会いできるのを楽しみにしています。
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