目標を達成したのに、なぜか“虚しい”あなたへ

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

ゴールテープを切った後の、静かな“燃え尽き”

必死で勉強して、第一志望の学校に合格した。あの、天にも昇るような喜びは、数日もすれば消え去り、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになる。 昇進という目標を達成し、周りから「おめでとう!」と祝福された。しかし、その夜、一人になった時、言いようのない虚しさに襲われる。 大きなプロジェクトを成功させ、燃え尽きたように、何もやる気が起きなくなってしまった。

多くの人が、「あの目標を達成しさえすれば、永続的な幸せが手に入るはずだ」と信じて、努力を重ねます。 しかし、いざその「山頂」に立ったはずなのに、そこには期待していた絶景はなく、ただ冷たい風が吹き抜けるだけの、寂しい場所だった、という経験をしたことはないでしょうか。 この、目標達成後に訪れる「燃え尽き症候群」や「虚無感」は、決してあなただけが経験する、特別なことではないのです。

その目標、誰のためのものでしたか?

なぜ、輝かしいはずの達成感が、色あせた虚しさに変わってしまうのでしょうか。 アドラー心理学の視点から見ると、問題は、目標達成そのものではなく、あなたが設定した目標の「質」にあるのかもしれません。

アドラー心理学では、人の行動の動機を「自己への関心」「他者への関心(共同体感覚)」の二つのベクトルで考えます。 あなたが達成したその目標は、一体どちらの方向を向いていたでしょうか。

  • 「自己への関心」に基づいた目標 「他人より優位に立ちたい」「すごいと思われたい」「認められたい」。これらはすべて、自分自身にしか関心が向いていない、個人的な野心です。
  • 「他者への関心」に基づいた目標 「この仕事を通して、お客様を喜ばせたい」「自分の経験を活かして、後輩を育てたい」「この活動で、社会に貢献したい」。これらは、他者や共同体への「貢献」を目的としています。

「自己への関心」に終始した目標は、たとえ達成できたとしても、その喜びは一瞬で、刹那的です。なぜなら、その山頂の先には、他者との温かいつながりはなく、深い孤独感と、「で、次はどうやって自分を満足させるか?」という、終わりのない渇望が待っているだけだからです。

本当の幸福は、「貢献感」という名の“山脈”にある

では、私たちを本当の意味で満たしてくれるものは、どこにあるのでしょうか。 アドラー心理学は、人が永続的で、深い充実感や幸福感を得られるのは、「私は、共同体の役に立っている」という「貢献感」を実感できた時である、と示します。

個人的な成功という、一つ登りきったら終わってしまう「単独峰」を目指すのではなく、他者への貢献という、どこまでも連なっていく、雄大な「山脈」を歩くこと。その、一歩一歩のプロセスそのものに、本当の喜びがあるのです。 貢献に、終わりはありません。一つの貢献を果たせば、また次の貢献の課題が見えてくる。この、他者との関わりの中で、常に「自分にできることは何か?」と問い続ける生き方こそが、私たちを虚しさから救い出してくれるのです。

あなたの目標を、「貢献」の視点から見つめ直す

もし、あなたが今、虚しさを感じているのなら、ご自身の目標を「貢献」という視点から、見つめ直してみませんか。

ステップ1:今の目標の「向こう側」にいる人を、見つける 例えば、「昇進したい」という目標。その目的が「給料を上げて、自分のためだけに使いたい」で終わっていませんか。「昇進して、より大きな権限を持つことで、部下が働きやすい環境を作りたい」「会社の発展に、もっと直接的に貢献したい」という、他者への貢献へと、目的を広げ、つなげられないでしょうか。

ステップ2:「どうすれば認められるか?」から、「どうすれば役に立てるか?」へ、問いを変える 行動の動機を、承認欲求から、貢献感へと意識的にシフトさせましょう。他者の評価を追い求めるのをやめ、目の前の人への貢献に集中するのです。

ステップ3:結果ではなく、貢献の“プロセス”そのものを楽しむ 山頂にたどり着くことだけが、目的ではありません。山を登る一歩一歩、つまり、日々の貢献のプロセスそのものに、喜びと意味を見出すこと。たとえ大きな目標が達成できなくても、「誰かのために尽くした」という実感は、決してあなたを裏切りません。

虚しさは、「自分、自分」と、自分にばかり関心が向いている時に、忍び寄ってきます。 「私」という小さな牢獄から出て、他者という広大な世界に関心を持つこと。 その時、あなたの人生は、意味と喜びに満ちた、新しい物語を始めるはずです。


目標を失い、燃え尽きてしまい、次に何をすればいいかわからない。貢献と言われても、自分のやっていることが、本当に誰かの役に立っているのか、実感できない。そんな風に悩んでいらっしゃるかもしれません。

カウンセリングでは、あなたが抱える虚しさの正体を探り、あなたのライフスタイルが「自己への関心」に偏ってしまっている原因を、安全な空間で一緒に見つめ直します。そして、あなたらしい「貢献」の形を見つけ出し、本当の充実感に満ちた人生の目標を再設定するお手伝いをさせていただきます。


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