「すみません」が口癖のあなたへ – 謝罪ではなく、感謝を伝える言葉の魔法 –

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

あなたの「すみません」、本当に謝罪ですか?

お店で店員さんを呼ぶ時に、「すみませーん」
エレベーターのドアを開けて待っていてくれた人に、会釈しながら「すみません」
仕事で質問をする時に、「お忙しいところ、すみません」。
そして、何か親切にしてもらった時、心の中では「ありがたいな」と思っているはずなのに、口から出てくるのは、やっぱり「すみません」

日本語の「すみません」は、謝罪、感謝、呼びかけなど、様々な場面で使える、非常に便利な言葉です。 しかし、その便利さゆえに、私たちは、本来「ありがとう」と伝えるべき場面でまで、無意識に「すみません」を乱用してしまっているのではないでしょうか。 そして、その一言を発するたびに、心の奥底で「自分は、相手に迷惑をかけてしまった」「手間を取らせてしまって、申し訳ない」という、ほんの少しの後ろめたさや、自己卑下の気持ちを感じてはいませんか。

なぜ、あなたはすぐに謝ってしまうのか?

では、なぜ私たちは、「ありがとう」よりも先に、「すみません」という言葉が口をついて出てしまうのでしょうか。 その背景には、いくつかの心理的な理由が隠されています。

一つは、「自分には、それを受ける価値がない」という劣等感です。 心のどこかで「自分は、他者から親切にされるほどの価値ある存在ではない」と思い込んでいる。だから、誰かから親切にされると、「こんな自分のために、貴重な時間や手間をかけさせてしまって、申し訳ない」という罪悪感が、感謝の気持ちよりも先に立ってしまうのです。

また、相手のことを、自分より「上」の存在と見なし、自分を「下」に置くことで、波風を立てずにその場をやり過ごそうとする、「縦の関係」の癖がついているのかもしれません。「すみません」と言うことで、「私はあなたより下の立場ですよ」というメッセージを発信し、相手の機嫌を損ねないように、自己防衛しているのです。

「すみません」が奪うもの、「ありがとう」が与えるもの

この、何気ない口癖が、あなたと相手との関係に、どんな影響を与えているか、考えてみたことはありますか。

「すみません」という言葉が奪うもの それは、まず、あなた自身の自信です。「すみません」と言うたびに、あなたは「自分は、他者に迷惑をかける存在だ」と、自分自身に繰り返し言い聞かせているのと同じです。 そして、もっと大切なこと。それは、相手の「貢献感」を奪ってしまうということです。相手は、良かれと思ってあなたに親切にしてくれたのに、「すみません」と言われると、「ああ、自分は余計なことをして、この人を恐縮させてしまったんだな」と感じてしまうかもしれません。相手の「役に立てた」という温かい喜びを、あなたのその一言が、台無しにしてしまうのです。

「ありがとう」という言葉が与えるもの 一方、「ありがとう」はどうでしょうか。 まず、あなた自身に、「自分は、感謝されるような行為を受けるに値する、価値ある存在だ」という、自己受容の感覚を与えてくれます。 そして、相手に対しては、「あなたの親切は、私をとても助けてくれました。あなたの貢献に、心から感謝します」という、最高の「勇気づけ」のメッセージとなるのです。

「すみません」は、関係を萎縮させ、お互いを少しだけ寂しい気持ちにさせます。 「ありがとう」は、関係を豊かにし、お互いを温かい気持ちにさせます。 どちらの言葉を選ぶかは、あなたの自由です。

“言葉の魔法”を、今日から使ってみよう

さあ、今日から、「すみません」を「ありがとう」に翻訳する、言葉の魔法を使ってみませんか。

  • エレベーターでドアを開けて待っていてくれた人に
    • (旧)「すみません…」
    • (新)「ありがとうございます!」
  • 仕事で、忙しい中、質問に答えてくれた同僚に
    • (旧)「お忙しいのに、本当にすみませんでした」
    • (新)「お忙しいのに、本当にありがとうございました。すごく助かりました!」
  • 落とした物を拾ってもらった時に
    • (旧)「あ、すみません、どうも…」
    • (新)「わ、ありがとうございます!親切にしていただいて、とても嬉しいです」

この言葉の言い換えは、単なる表面的なテクニックではありません。 それは、自分と相手を、上下ではなく、対等な仲間と見なす「横の関係」を築くための、意識的なトレーニングなのです。 「すみません」が口から出そうになったら、一度立ち止まって、こう自問してみてください。 「この場面で、私が本当に伝えたい気持ちは、謝罪だろうか?それとも、感謝だろうか?」と。

その小さな習慣が、あなたの自己評価と、周りのあなたへの評価を、劇的に、そして温かく変えていく力を持っているのです。


長年の口癖は、意識しても、なかなかなおらないものです。「ありがとう」と素直に言うのが、なんだか気恥ずかしくて、つい、いつもの「すみません」に逃げてしまう、ということもあるでしょう。 もし、あなたがその不便な口癖を手放し、感謝の言葉で、自分と相手を勇気づけられるようになりたいと願うなら、一度お話しに来ませんか。

カウンセリングでは、あなたがなぜすぐに謝ってしまうのか、その背景にある劣等感やライフスタイルを安全な空間で一緒に探求します。そして、自分を卑下するのではなく、感謝の言葉で豊かな人間関係を築いていくための具体的な練習を、伴走者としてサポートさせていただきます。


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