日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
心の中の“警報”、鳴り響いていませんか?
理由もなくイライラして、周りに当たり散らしてしまい、後で自己嫌悪に陥る。 漠然とした不安に襲われ、何も手につかなくなる。 他人の成功を見て、強烈な嫉妬に心が支配され、眠れない夜を過ごす。
私たちは、こうした「不快な感情」を、人生における“厄介者”だと考えがちです。 「こんな感情、なければいいのに」「いつも穏やかで、ポジティブな心でいたいのに、なぜ…」と、不快な感情を感じてしまう自分自身を、責めてしまう。 しかし、もし、その厄介者だと思っていた感情が、あなたの人生を、危険から守り、より良い方向へと導くための、非常に重要な“警報(アラーム)”だとしたら、どうでしょうか。
感情は、あなたを動かすための“エネルギー”
アドラー心理学は、「目的論」という視点から、感情を捉えます。 感情とは、何かの出来事によって、あなたの中に自動的に湧き上がってくるものではありません。それは、あなたが、ある目的を達成するために、自ら作り出し、使っている、強力な“エネルギー”あるいは“道具”なのです。
例えば、
- 怒りは、相手を支配し、自分の思い通りに動かしたい、という目的のために。
- 不安は、挑戦を先延ばしにし、失敗するリスクから逃れたい、という目的のために。
- 悲しみは、他者からの同情や援助を引き出したい、という目的のために。
感情に、良いも悪いもありません。 それは、ただ、あなたの「本当の願い」や「避けたいこと」を、あなた自身に知らせ、行動を促すための「信号」として、忠実に機能しているだけなのです。
「不快な感情」という信号の、正しい“翻訳”の仕方
では、その信号が発する、大切なメッセージを、どう読み解けばいいのでしょうか。
ステップ1:まず、感情に“名前”をつける 心の中のもやもやを、ただ「嫌な感じ」と放置せず、「これは、“不安”だな」「これは、“嫉妬”だな」「これは、“寂しさ”だな」と、客観的に名付けてみましょう。名前をつけるだけで、感情に飲み込まれることなく、それを冷静に対象として扱うことができます。
ステップ2:「この感情は、私に何をさせようとしているのか?」と問う 次に、その感情の「目的」を探ります。 「この不安は、私に、『準備を怠るな』と警告しているのかもしれない」 「この嫉妬は、私に、『本当は自分も、こうなりたいのだ』と、心の底の願いを教えてくれているのかもしれない」
ステップ3:その下の「本当の気持ち(一次感情)」に耳を澄ます 特に「怒り」のような強い感情の場合、その下に隠れている、より繊細な気持ちを探してみましょう。「怒り」という二次感情の仮面の下には、「わかってもらえなくて、悲しかった」「ないがしろにされて、寂しかった」という、傷つきやすい「一次感情」が隠れていることが、非常に多いのです。
感情の“奴隷”ではなく、“主人”になる
感情のメッセージを読み解いた後、どう行動するかが、最も重要です。 大切なのは、感情という信号に、自動的に従う(奴隷になる)のではない、ということ。
信号の意味を理解した上で、「では、これからどう行動するのが、自分と共同体にとって、最も建設的か?」と、あなたの「理性」で判断し、「選択」するのです。
例えば、プレゼン前に「不安」を感じた時。
- 奴隷の反応:不安だから、何も考えられなくなり、逃げ出す。
- 主人の反応:「なるほど、自分は不安を感じているな。それは、準備が足りないというサインかもしれない。では、どうしたら、その不安を減らせるだろう?もう少し、資料を読み込んでみよう」と、具体的な行動に繋げます。
感情は、あなたの人生の車を運転する、気まぐれな同乗者のようなもの。 その声に耳は傾けるけれど、最終的にハンドルを握り、アクセルとブレーキを操作するのは、いつだって、あなた自身(あなたの理性と意思)なのです。
不快な感情を、敵視するのは、もうやめにしましょう。 それは、あなたの人生を、より良く、よりあなたらしく導くための、最も信頼できる“ナビゲーションシステム”なのですから。
自分の感情に、どうしても飲み込まれてしまう。不快な感情のメッセージが、どうにも読み解けない。感情をコントロールできず、周りを傷つけてしまい、自己嫌悪に陥る。そのお気持ち、よくわかります。
カウンセリングは、あなたの感情が、どんな「目的」で使われているのかを、安全な空間で一緒に探求し、そのメッセージを正しく翻訳するお手伝いをする場所です。そして、感情の奴隷になるのではなく、感情を賢く使いこなす「主人」になるための、具体的なトレーニングをサポートします。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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