夢や目標を聞かれるのが、少し怖い。

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「あなたの夢は何ですか?」という、重たい質問

就職活動の面接で、「あなたの将来の夢は?」と聞かれて、言葉に詰まってしまう。 飲み会で、周りが生き生きと自分の目標を語っているのを聞きながら、自分だけが空っぽなような気がして、ただ相槌を打つことしかできない。 「何か、目標とかないの?」と、悪気なく聞かれただけなのに、まるで自分の生き方そのものを否定されたかのように、心がズキリと痛む。

「夢」や「目標」という言葉。 本来は、希望に満ちた、キラキラしたものであるはずなのに、いつの間にか、あなたを評価するための「踏み絵」のように感じられて、息苦しくなってはいませんか。 「立派な夢を語れない自分は、意識が低く、価値のない人間なのではないか…」 その、静かな恐怖が、あなたの心を縛り付けているのかもしれません。

その“怖さ”の正体を、見つめてみる

なぜ、私たちは「夢や目標」を語るのが、これほどまでに怖いのでしょうか。 その恐怖の正体は、いくつか考えられます。

一つは、「他者の評価」という名の、見えない“審査員”の存在です。 自分の夢を語った瞬間に、相手が心の中で「そんなの、無理に決まってる」「青臭いことを言っているな」と、自分を“ジャッジ”するのではないか、という恐怖。これは、自分の価値を他者の評価に委ねてしまっている、承認欲求の表れです。

もう一つは、「達成できなかった未来の自分」からの、嘲笑への恐怖です。 一度、目標を口にしてしまうと、それは自分との「約束」になります。もし、その目標を達成できなかった時、「ほら、やっぱりお前は口だけだったじゃないか」と、未来の自分が、今の自分を嘲笑うような気がしてしまう。これは、失敗を恐れる完璧主義の罠と言えるでしょう。

そして、最も根源的な恐怖は、「特に、何もない自分」と、向き合うことへの恐怖かもしれません。「夢は?」と問われることは、「自分は何をしたいのか」という、人生の核心的な問いを、自分自身に突きつけられることだからです。

アドラー心理学からの、ささやかな“処方箋”

この、がんじがらめの恐怖から、心を解放するための、具体的な考え方があります。

処方箋1:「目標」ではなく、「方向」を決める まず、「立派な夢や目標を持たなければならない」という、思い込みを手放しましょう。 アドラー心理学では、人生の目標を、遠い山頂にある一つの「ゴール」ではなく、進むべき「方向」を示す、北極星のようなものと考えます。 「プロの〇〇になる!」という具体的な目標でなくても、全く構いません。「人の役に立つ生き方がしたい」「昨日より、少しだけ成長したい」「毎日を、機嫌よく、丁寧に過ごしたい」。 そんな、ぼんやりとした「方向性」さえ、あなたの中に灯っていれば、それで十分なのです。

処方箋2:未来の「夢」ではなく、今日の「貢献」に集中する 壮大な夢を語れなくても、全く問題ありません。アドラー心理学が、それ以上に大切だと考えるのは、「今、ここ」で、目の前の人に、何ができるか、ということです。 「すごい夢」を語ることで承認を得ようとするのではなく、「ささやかな貢献」を積み重ねることで得られる「貢献感」こそが、他者の評価に左右されない、本物の自己価値の感覚を育んでくれます。

もし、聞かれたら? – 魔法の“答え方”

では、実際に「夢や目標は?」と聞かれた時に、どう答えればいいのでしょうか。 怖さを感じずに済む、魔法の答え方があります。

  • 答え方1(貢献で答える) 「大きな夢というほどではないですが、今は、目の前の仕事を通して、お客様に喜んでもらうことに、一番やりがいを感じています」

  • 答え方2(プロセスで答える) 「まだ、はっきりとは決まっていませんが、色々なことに挑戦しながら、自分が本当に楽しいと思えることを見つけている、そのプロセス自体が、今の私の目標かもしれません」

  • 答え方3(ユーモアでかわす) 「そうですねえ、とりあえず、今日のランチを美味しく食べることが、目下の目標です!(笑)」

これらの答え方に共通するのは、相手の「評価の土俵」に乗らないこと。そして、「今、ここ」の自分を、卑下もせず、誇張もせず、ただありのままに語ることです。

夢や目標の「大きさ」や「立派さ」で、人の価値は決まりません。 あなたが、あなたの人生を、誠実に、一歩一歩、歩んでいること。そのこと自体が、何よりも尊いのですから。


自分の「方向性」さえも、わからなくなってしまった。周りと比べてしまい、焦りや劣等感から抜け出せない。そんな風に、一人で悩んでいませんか。

カウンセリングでは、あなたがなぜ「夢や目標」を語ることを恐れてしまうのか、その背景にあるライフスタイルを探求し、あなたを縛っている思い込みを解きほぐします。そして、壮大な夢探しではなく、あなたらしい、地に足のついた「貢献」と「喜び」を見つけていくお手伝いをさせていただきます。

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