「明日の自分」の課題

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

夜、ひとり不安の海を漂うあなたへ

「明日の会議、うまくいくかな…」 「あの時、あんな事を言わなければ…」 「子どもの将来が心配で…」

静まり返った夜、ひとりベッドの中で、次から次へと不安の波が押し寄せてきて、心臓がざわつき、眠れなくなる。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

未来への心配や、過去への後悔。考えれば考えるほど、まるで自分だけが深い海の底に取り残されたような、孤独で息苦しい気持ちになりますよね。私自身も、会社経営や4人の子育ての中で、言いようのない不安に襲われ、天井を眺めながら夜を明かしたことが何度もあります。

その「不安」、何のために使っていますか?

アドラー心理学では、人間の感情や行動にはすべて「目的」があると考えます。これは「目的論」と呼ばれる、非常にユニークな視点です。

もし、あなたが不安で眠れないのだとしたら、その「不安」という感情を、何かの目的を達成するために、無意識のうちに「使っている」のかもしれない、と捉え直してみるのです。

これは、あなたを責めるための考え方ではありません。むしろ、自分自身を理解し、その呪縛から自らを解放するための、新しい鍵のようなものです。

例えば、「失敗すること」を極度に恐れている人は、「不安で眠れないほどの状態」を創り出すことで、「こんなに悩んでいるのだから、もし失敗しても仕方がない」という言い訳を用意しているのかもしれません。あるいは、「誰かに心配してもらいたい」という目的のために、不安な自分を演じている可能性も考えられます。

あなたはその不安を使って、何を避けようとしているのでしょうか。何を得ようとしているのでしょうか。静かに自分に問いかけてみると、思わぬ心の声が聞こえてくるかもしれません。

「今、ここ」に錨(いかり)をおろす

不安は、まだ来ぬ未来か、もう過ぎ去った過去に心を奪われている状態です。アドラーは、私たちに「今、ここに集中すること」の大切さを教えてくれます。過去を悔やんでも、未来を心配しても、それは想像の世界を漂っているにすぎません。

不安の波に飲み込まれそうになったら、意識的に「今」に錨をおろしてみましょう。

眠らなければならない、と自分を追い詰める必要はありません。横になって、ただ目を閉じ、シーツの感触や自分の呼吸に意識を向ける。「眠れない自分」を責めるのではなく、「今は、体を休めている時間なんだ」と許可してあげるのです。

温かいハーブティーを一口、ゆっくりと味わってみる。好きな音楽に静かに耳を傾ける。どんな些細なことでも構いません。五感を使って、「今」を感じる練習をしてみましょう。それは、荒れ狂う思考の海から、あなたを救い上げてくれる確かな錨となります。

不安を感じるのは、あなたが人生に真剣に向き合っている証拠でもあります。そのエネルギーを、未来の心配ではなく、「今の自分」を大切にすることに使ってみませんか。

もし、一人で抱えきれない不安の波に繰り返し襲われるのなら、誰かにその重荷を話してみることも、大切な一歩です。



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