原因不明の体調不良…その“痛み”が、あなたに伝えたいこと

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「異常なし」と言われても、確かに“痛い”

何度も病院で検査を重ねても、いつも返ってくる言葉は「特に異常はありませんね」、 「ストレスでしょう」と言われるけれど、それだけでは納得できない、このしつこい頭痛や腹痛、めまい。 大事な会議やプレゼンの前になると、決まって体調が悪くなる。行きたくない集まりが近づくと、身体が鉛のように重くなる。

身体は確かにつらく、痛いのに、その原因がわからない。誰にも理解してもらえない。 「気のせいなんかじゃない」「仮病でもない」 そのもどかしさや孤独感は、本当に辛いものだと思います。

しかし、もし、その“痛み”が、あなたの心からの「SOSサイン」だとしたら、どうでしょうか。 あなたの身体が、言葉にならない心の叫びを、あなた自身に伝えようとしているのかもしれません。

その症状、何かの“言い訳”になっていませんか? – 目的論の視点

アドラー心理学には、物事を「原因」ではなく「目的」で捉える、「目的論」というユニークな考え方があります。 これを、あなたの体調不良に当てはめてみましょう。

「ストレスが原因で、頭痛が起きる」と考えるのが、一般的な「原因論」です。 一方、「目的論」では、こう考えます。 「ある“目的”を達成するために、頭痛という症状を(無意識に)作り出し、使っている」

「そんな馬鹿な。こんなに辛いのに、自分で作っているはずがない」 そう思われるのも、もっともです。これは決して、あなたの苦しみを軽んじたり、仮病だと責めたりするものではありません。

では、その“目的”とは、一体何なのでしょうか。

一つは、困難な人生の課題から「回避する」という目的です。 例えば、ひどい頭痛があれば、責任の重いプレゼンを休む「正当な理由」になります。めまいがすれば、気まずい人間関係のある集まりに参加しなくて済みます。 その症状が、あなたが直面したくない状況から、あなたを守るための**「免罪符」**として機能しているのかもしれません。

もう一つは、他者からの特別な「注目」や「配慮」を得るという目的です。 あなたが体調不良で苦しんでいれば、周りの人は心配し、優しくしてくれるでしょう。「大丈夫?」と声をかけ、無理を言わなくなるかもしれません。 普段は素直に言えない「助けてほしい」「一人にしないでほしい」というメッセージを、症状があなたに代わって、雄弁に伝えてくれているのかもしれないのです。

なぜ「その場所」が痛むのか?

さらに、アドラー心理学には「器官劣等性」という考え方があります。 これは、人は誰しも、遺伝的あるいは後天的に、身体の中に相対的に弱い部分(器官)を持っている、というものです。そして、心理的な困難に直面した時、まるで心の悲鳴のメガホンのように、その最も弱い部分に症状が現れやすい、と考えるのです。

子どもの頃に胃腸が弱かった人は、大人になってストレスがかかると腹痛に悩まされやすいかもしれません。 つまり、あなたの身体の“痛み”は、あなたの心が抱える“痛み”のありかを、指し示してくれているのかもしれないのです。

身体の声に耳を澄まし、本当の“痛み”に気づく

もし、あなたの体調不良に、何らかの「目的」が隠れているのだとしたら。 そのループから抜け出す鍵は、あなた自身の中にあります。

まずは、正直に、自分の心を探ってみることです。 「この症状が出ると、結果的に自分は何をしなくて済んでいるだろう?」 「誰かが、いつもより優しくなってくれてはいないだろうか?」 これは、自分を責めるためではありません。ただ、ありのままの自分の心を理解するための、大切な問いかけです。

そして、もしその症状の「目的」に思い当たることがあったなら、次は症状に頼らない、別の方法を選ぶ勇気を持つことです。 プレゼンが不安なら、頭痛に頼るのではなく、「とても不安で、自信がない」と、誰かに打ち明けてみる。 優しくしてほしいなら、体調不良で訴えるのではなく、「今、辛いから少し話を聞いてほしい」と、言葉で伝えてみる。

それは、とても勇気がいることかもしれません。 しかし、その勇気ある一歩を踏み出した時、あなたは症状という不自由な支配者から解放され、人生の主導権を自分の手に取り戻すことができるのです。

あなたの身体が発する“痛み”は、敵ではありません。 それは、あなたが本当に向き合うべき、心の“痛み”のありかを必死に教えてくれている、あなたの一番の味方なのかもしれません。


自分の症状の“目的”に、一人で向き合うのは怖いことかもしれません。身体の不調と心のつながりは、非常にデリケートな問題であり、専門家のサポートが必要な場合も多くあります。 もしあなたが、原因不明の体調不良に長く悩み、その苦しみから抜け出すためのヒントを探しているのなら、一度お話しに来ませんか。

カウンセリングでは、あなたの身体的な苦しみを軽視することなく、その背景にあるかもしれない心理的な「目的」を、安全な空間で一緒に探求していきます。そして、症状に頼らなくても生きていける「勇気」を、あなた自身の中に見出すためのお手伝いをさせていただきます。


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