日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
アドラー心理学の心臓部、「共同体感覚」って、一体なんだ?
「このチームにいると、なんだか安心する」 「この仲間となら、どんなことでも乗り越えられそうだ」
あなたは今、そんな風に感じられる「居場所」を持っていますか?
もし持っているとしたら、その温かい安心感や、人との確かなつながりの感覚こそ、アドラー心理学が最も大切にしている「共同体感覚」の入り口です。
「共同体感覚」――。 アドラー心理学の「心臓部」とまで言われるこの言葉、少し難しそうに聞こえるかもしれませんね。でも、実は私たちの幸せに直結するとてもシンプルで、そして温かい考え方なのです。今日はその正体を、一緒に探っていきましょう。
「共同体感覚」を支える3つの柱
共同体感覚とは、一言でいえば「他者を仲間だとみなし、そこに自分の居場所があると感じられること」です。この感覚は、3つの要素で成り立っていると考えると、とても分かりやすくなります。
- 自己受容(自分を信じること) まず、すべての土台となるのが「自分自身と仲間になる」ことです。つまり、ありのままの自分を受け入れること。得意なことも苦手なことも、100点満点の完璧な自分でなくても、「60点の自分でもOK」と許可を出してあげる。これが「自己受容」です。自分を責めている状態では、他者を仲間として信頼することはできません。
- 他者信頼(仲間を信じること) 次に、他者を「評価してくる敵」ではなく「協力しあう仲間」だと信じること。もちろん、信じたら裏切られることもあるかもしれません。しかしアドラー心理学では、裏切られる可能性を恐れて疑いの目を持つのではなく、まずはこちらから信じる勇気を持つことを選択します。なぜなら、信じることからしか、協力関係は始まらないからです。
- 他者貢献(仲間に貢献すること) そして最も大切なのが、「自分は、仲間の役に立っている」という感覚です。これは、何か特別なことをしたり、自己犠牲をしたりすることではありません。大切なのは「貢献感」という、あなた自身の主観的な感覚です。誰かに「ありがとう」と言われることだけでなく、「資料の準備ができた」「会議の議事録をとった」など、自分の行動が誰かの役に立ったと感じられた瞬間に、私たちの心は貢献感で満たされます。
なぜ「共同体感覚」が幸せに直結するのか?
アドラー心理学では、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と考えます。
共同体感覚が持てていない状態とは、周りの人を「敵」だと見なし、「嫌われていないか」「どう評価されているか」と、常にビクビクしている状態です。これでは心が休まるはずもなく、他者からの承認を求めるだけの不自由な生き方になってしまいます。
一方で共同体感覚が持てていると、「自分はここにいてもいいんだ」という絶対的な安心感に包まれます。他者の評価に一喜一憂することなく、リラックスして自分らしくいられる。だから、人は幸せを感じられるのです。
私も経営する会社では、社員一人ひとりが「自分はこのチームの役に立っている」と感じられるような、心理的安全性の高い「共同体」であることを常に目指しています。その感覚こそが、個人の幸福と組織の成長、両方にとって不可欠だと信じているからです。
あなたの「共同体」は職場だけじゃない
「そんなこと言われても、今の職場で共同体感覚なんてとても持てそうにない…」 そう感じた方もいるかもしれません。でも、大丈夫です。
アドラー心理学でいう「共同体」とは、今いる会社や家族といった目に見える集団だけを指すのではありません。古くからの友人、趣味のサークル、さらには直接会ったことのない人々や未来の人類、動植物や無生物まで含む、とても広大な概念です。
だから、もし今いる小さな共同体でうまくいかなくても、絶望する必要は全くありません。より大きな共同体の存在を意識すれば、目の前の悩みは相対的に小さなものに見えてきます。時には、その共同体から「抜ける」という選択も、立派な解決策の一つなのです。
幸せとは「貢献感」そのものである
共同体感覚を育むための第一歩は、目の前の誰かに対して「自分に何ができるか?」を考えること、つまり「他者貢献」から始まります。
「ありがとう」と言われるためにやるのではありません。あなたが「誰かの役に立てた」と主観的に感じられた瞬間に、人は自分に価値があると思え、そこに揺るぎない「居場所」が生まれるのです。
共同体感覚は、特別な能力ではなく、日々の小さな貢献の積み重ねによって、誰もが育てていける心の筋肉のようなものです。そして、その感覚を育むことこそが、本当の意味で幸せな人生を送るための、最も確かな道筋なのです。
もし、あなたが今いる場所で「居場所がない」と感じていたり、貢献感を持てずに苦しんでいたりするなら、ぜひ一度お話ししに来てください。あなただけの共同体感覚を、一緒に見つけていきましょう。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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