その”罪悪感”、本当に必要ですか? – “反省”と”後悔”の、健全な向き合い方 –

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

心に重くのしかかる、消えない“罪”の意識

過去にしてしまった、あの過ちを思い出すたびに、「自分はなんてひどい人間なんだろう」と、自分を責め続けてしまう。 誰かを深く傷つけてしまった後、「自分は罰せられなければならない」という思いに駆られ、幸せになることを、自分自身に禁じてしまう。 常に「申し訳ない」という気持ちを抱えていて、人と対等な関係を築くことができない。

この、心に重くのしかかる「罪悪感」という感情。 それは、まるで心の牢獄のように、私たちを過去の一点に縛り付け、未来への一歩を踏み出す力を、静かに奪っていきます。 多くの人は、「罪悪感を感じることこそが、誠実な反省の証だ」と信じています。しかし、アドラー心理学は、そこに全く違う光を当てます。

その「罪悪感」は、何のため? – 目的論の視点

なぜ、私たちはこれほどまでに、罪悪感にとらわれてしまうのでしょうか。 「悪いことをしたから、罪悪感を感じる」のではなく、「ある“目的”を達成するために、『罪悪感』という感情を、無意識に利用している」としたら、どうでしょうか。

  • 目的1:自分を“罰する”ことで、本当の課題から逃げるため 「自分はこんなに苦しんでいる、反省している」と、罪悪感に浸ること。それは、「では、これからどうするのか?」という、未来に向けた建設的な課題と向き合うことを回避するための、巧妙な言い訳になりえます。「自分を責める」という、ある意味で楽な行為に逃げ込んでいるのです。
  • 目的2:「自分は、これ以上悪くはならない」という自己正当化 「罪悪感を感じている私は、まだ良心のある人間だ」と、自分自身に言い聞かせることができる。罪悪感に苛まれることで、「これ以上、堕落することはない」という、消極的な自己肯定感を得ようとしているのです。

「罪悪感」と「反省」は、全くの別物です

ここで、アドラー心理学が示す、非常に重要な区別についてお話しします。 それは、「罪悪感」と「反省」は、全くの別物である、ということです。

罪悪感

  • 過去志向:過去の過ちばかりを見つめ、自分を裁き、罰することにエネルギーを使う。
  • 非生産的:自分を責めるだけで、具体的な行動の変化にはつながらない。むしろ、無気力や自己否定を深めるだけ。
  • 自己中心的:「かわいそうな私」「罰せられるべき私」と、関心が自分にしか向いていない。

反省

  • 未来志向:過去の過ちを「学び」として捉え、「では、次に同じ状況になった時、どうすればもっと良くできるか?」を考える。
  • 建設的:具体的な行動計画や、再発防止策へとつながる。
  • 共同体感覚に基づいている:自分の過ちが、他者や共同体にどんな影響を与えたかを考え、その関係を修復し、より良くするための行動を志向する。

アドラー心理学が目指すのは、私たちを過去に縛り付ける「罪悪感」ではなく、未来をより良く創造していくための、責任ある「反省」なのです。

心の牢獄から、自分を解放する方法

では、どうすれば非生産的な罪悪感から抜け出し、建設的な反省へとシフトできるのでしょうか。

ステップ1:自分を“裁く”のを、やめる まず、あなた自身が、自分に下している「有罪判決」を取り下げましょう。あなたは、裁判官でも、被告人でもありません。過ちは過ちとして、その事実と、それに対するあなた自身の価値判断を「分離」するのです。

ステップ2:「なぜ?」ではなく、「どうすれば?」と問う 「なぜ、あんなことをしてしまったんだろう?」という、答えの出ない過去への問いをやめ、「これから、自分に何ができるだろう?」という、未来への問いに切り替えましょう。

ステップ3:具体的な「償い」と「再発防止」を考える 誰かを傷つけてしまったのなら、自分を責めて時間を浪費する代わりに、誠実に謝罪する。そして、二度と同じ過ちを繰り返さないために、どんな行動や仕組みが必要かを、具体的に考える。これこそが、本当の意味で「責任を取る」ということです。

罪悪感は、あなたを過去の囚人にする、重たい鎖です。 反省は、あなたを未来の創造者にする、軽やかな翼です。 あなたは、どちらを選びますか。その選択権は、常に「今のあなた」の手の中にあるのです。


長年の罪悪感から、どうしても自分を許すことができない。反省の仕方がわからず、ただ自分を責めることしかできない。そんな風に、苦しんでいる方もいるかもしれません。

カウンセリングは、あなたが抱える罪悪感の本当の「目的」を安全な空間で探求し、その非生産的なループから抜け出すお手伝いをする場所です。そして、過去と和解し、未来志向の建設的な一歩を踏み出すための「勇気づけ」を、伴走者として行います。


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