日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
「言わなくても、わかってよ」という“甘え”の正体
「こんなに大変なのに、どうして気づいてくれないの?」 「普通、こう考えるでしょ。なんで、わからないかなぁ」
パートナーや家族、職場の同僚に対して、心の中でそう叫んでしまったことはありませんか? まるで、相手が自分の心を読んでくれるのが当然であるかのように。
これは、とても自然な感情です。 しかし、アドラー心理学の視点から見ると、この「わかってほしい」という期待こそが、人間関係の多くのすれ違いを生む、一つの「罠」でもあるのです。
あなたの「当たり前」は、相手の「当たり前」ではない
アドラー心理学の「仮想論」という考え方では、私たちは一人ひとり、自分だけの主観的なフィルターを通して世界を見ているとされます。 あなたが信じている「当たり前」や「普通」は、あなたの経験から作られた、あなただけの「地図」なのです。
そして、他の人もまた、全く別の地図を持っています。
私たちは、この大前提を忘れがちです。 自分の地図が唯一の正しい地図だと信じ、「言わなくてもわかるはずだ」と相手に期待してしまう。それは、相手に「私の心を読みなさい」と要求しているのと同じこと。これでは、関係がギクシャクしてしまうのも無理はありません。
理解は「共同の課題」である
では、どうすればいいのでしょうか。 答えは、「理解し合うことを、二人の『共同の課題』にする」ということです。
相手が私の心を読んでくれるのを待つのではありません。 私から、相手の世界との間に「橋」を架けるのです。
「今、ちょっと手がいっぱいで、手伝ってもらえるとすごく助かるんだけど」 「私はこう思うんだけど、あなたはどう思う?」
自分の気持ちや状況を、勇気を出して、自分の言葉で伝える。 これは「甘え」ではなく、相手を対等なパートナーとして信頼し、協力関係を築こうとする「勇気づけ」の第一歩です。
相手に察してもらうことを期待するのは、実は相手に責任を丸投げしている状態。 それよりも、自分の課題として「伝える努力」をし、二人で理解というゴールを目指す。 その協力的な姿勢こそが、本当の「横の関係」を育むのです。
もしあなたが、「どうして誰もわかってくれないの?」と孤独を感じているなら、一度だけ、その心の矢印を自分に向けてみてください。
「私は、理解してもらうための『橋』を架ける努力をしただろうか?」
その小さな問いかけが、あなたの世界と大切な人の世界を繋ぐ、大きな一歩になるかもしれません。
言葉にして伝えるのが怖い。どう言えばいいかわからない。 そんな時は、ぜひカウンセリングに来てください。一緒に、あなたの心に「橋」を架ける練習をしましょう。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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