日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
「昔のあの出来事さえなければ…」と思ってしまうあなたへ
「あの時の、あの記憶が忘れられない」 「あの出来事があったから、今の自分はこうなんだ」
私たちは、過去の辛い記憶に縛られてしまうことがあります。まるで、過去が現在の自分をすべて決定しているかのように感じて。
アドラー心理学では、これを「原因論」と呼びます。過去の「原因」が、現在の「結果」を作っている、という考え方です。
しかし、アドラー心理学は、全く違う視点を私たちに提示してくれます。 それは、私たちの行動や感情は、未来の「目的」のためにあるという「目的論」の考え方です。
この視点に立つと、「過去の記憶」そのものの意味合いが、ガラリと変わってきます。
記憶は「事実」ではなく「意見」である
アドラー心理学では、人の記憶、特に幼い頃の記憶(早期回想)は、今の自分にとって都合がいいように「改編」された「意見」である、と考えます。 それは、客観的なビデオ録画のような「事実」ではなく、今の自分の生き方や信念(ライフスタイル)を支えるために、無意識に自分で選び、編集した「物語」なのです。
例えば、
- 「自分は不運な人間だ」というライフスタイルの人は、人生の辛かった記憶ばかりを鮮明に思い出すかもしれません。
- 「私は人に頼ってはいけない」というライフスタイルの人は、誰かに助けてもらえなかった記憶を、ことさらに強く握りしめているかもしれません。
つまり、「過去の出来事が原因で、今の自分がいる」のではなく、「今の生き方を正当化する目的のために、その過去の記憶を引っ張り出して使っている」のです。
あなたは、あなたの物語の「作者」である
この考え方は、私たちに大きな希望を与えてくれます。 なぜなら、もしその物語の作者が自分自身であるならば、これからの物語を書き換える力も、自分自身が持っているということだからです。
過去に起こった出来事そのものを変えることはできません。 しかし、その出来事にどんな「意味づけ」をするか、そして、その記憶をこれからどう「使う」かは、今のあなたが決められるのです。
「あの辛い経験があったからこそ、人の痛みがわかる自分になれた」 「あの時助けてもらえなかったおかげで、自分の力で立つ強さを学んだ」
カウンセリングは、あなたが無意識に紡いできた「過去の物語」を、あなた自身が理解するためのお手伝いをする場所です。 自分の人生の脚本(ライフスタイル)を読み解き、その脚本に隠された「目的」を知ることで、私たちは初めて、未来の脚本を自分の意志で書き換える「勇気」を持つのです。
あなたの心にずっと引っかかっている、あの日の記憶。 その物語を、一緒に読み解いてみませんか。 きっとそこには、あなたの未来を照らす、新しい光が隠されています。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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