100年前のアドラーの言葉が、現代のSNS疲れに効く理由。

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

手のひらの“劇場”で、私たちは疲弊している

朝、目が覚めて、まず最初にSNSをチェックする。 友人の華やかな投稿に、心からの「いいね!」が押せず、自分の平凡な日常が、急に色あせて見える。 自分の投稿への反応が気になって、仕事中も、食事中も、何度もスマートフォンを見てしまう。その時間は、期待と不安の、めまぐるしいジェットコースター。

この、24時間営業の、きらびやかな“劇場”で、私たちは常に誰かの視線を意識し、見えない“観客”からの評価に、心をすり減らしています。 そして、「この最新のテクノロジーが生んだ、新しい悩みに対して、まさか100年も前の心理学者の言葉が、驚くほど的確な答えを用意してくれているとしたら…?」と、あなたは思うかもしれません。 答えは、YESです。

アドラーが見抜いていた、「承認欲求」という名の麻薬

SNS疲れの根源。それは、私たちの心の中にある、「承認欲気」です。 人から「すごいね」と認められたい、「価値がある人間だ」と思われたい、という、この強い願い。

アドラーは、「他者からの承認を求める生き方は、結局、他人の人生を生きることであり、極めて不自由な生き方だ」と、100年も前から、私たちに警鐘を鳴らしていました。

SNSの「いいね」や「フォロワー数」は、この承認欲求を、最も手軽に、そして「数字」という分かりやすい形で満たしてくれます。しかし、その快感は、まるで麻薬のように、一瞬で消え去ります。そして、すぐにまた、次の承認を求める、さらに強い「渇き」に襲われるのです。 アドラーが危惧した、この承認を求める生き方の不自由さが、現代のSNS空間では、先鋭化し、凝縮された形で現れているのです。

100年前から変わらない、心の“処方箋”

この、最新に見えて、実は古典的な悩みに対し、アドラー心理学は、時代を超えて有効な、3つの“処方箋”を提示します。

処方箋1:「課題の分離」- “いいね”は、あなたの課題ではない アドラーは言います。「他者が、あなたのことをどう評価するか。それは、その人の課題であって、あなたの課題ではない」と。 あなたの投稿に「いいね」を押すか押さないかは、100パーセント他者の課題です。その日の気分、タイムラインの状況、相手の価値観など、あなたにはコントロールできない無数の要因で決まります。その、どうにもならないことで、一喜一憂するのは、もうやめにしましょう。

処方箋2:「劣等感は、バネにできる」- “キラキラ投稿”との健全な付き合い方 アドラーは言います。「健全な劣等感とは、他者との比較から生まれるのではなく、理想の自分との比較から生まれる」と。 他人の投稿を見て落ち込むのは、あなたが相手と「競争」している証拠です。その、不毛な土俵から、まず降りましょう。もし、相手の投稿に何かを感じるなら、それは「自分も、本当はこうありたい」というあなた自身の願いのサインだと捉え直すのです。嫉妬を、自己嫌悪ではなく、自己成長のエネルギーに変えるのです。

処方箋3:「共同体感覚」- 本当の“つながり”は、どこにあるか アドラーは言います。「人間の幸福は、すべて対人関係の中にあり、その究極の形は、共同体への貢献感である」と。 「いいね」を集めて、自分の価値を証明しようとする(自己への関心)のをやめ、代わりに、SNSを、他者を「勇気づける」ためのツールとして使ってみませんか。 困っている友人の投稿に、温かい励ましのコメントを送る。誰かの素晴らしい活動を、心からシェアして応援する。 その「貢献感」こそが、承認欲求の渇きを本当に潤してくれる、尽きることのない泉なのです。

スマホを置き、目の前の“あなた”と向き合う

アドラー心理学が、100年後の私たちに、本当に伝えたいメッセージ。 それは、驚くほどシンプルです。

SNSは、あくまで共同体と繋がるための、便利な「道具」の一つに過ぎません。しかし、私たちは時に、その道具に心を奪われ、目の前にいる、かけがえのない「あなた」との関係を、おろそかにしてはいないでしょうか。

本当の幸福や、揺るぎない所属感は、バーチャルな世界の「いいね」の数の中にはありません。 それは、リアルな対人関係における、具体的な貢献と、仲間からの直接的な「ありがとう」という言葉の中にしか、見出すことはできないのです。

他者の評価に惑わされず、仲間を信頼し、貢献せよ。 この、100年前の言葉こそ、情報過多で、常に他者の視線にさらされる現代を生きる私たちにとって、最高の道しるべになるはずです。


頭ではわかっていても、SNSを開くと、つい人と比べてしまう。承認欲求の渇きから、どうしても抜け出せない。そのお気持ち、よくわかります。

カウンセリングでは、あなたがなぜSNSに心を振り回されてしまうのか、その背景にあるあなたのライフスタイルを安全な空間で一緒に探求します。そして、他者の評価から自由になり、リアルな人間関係の中に、本当の幸福を見出していくお手伝いをさせていただきます。

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