友人の“マウント”に、笑顔で対応できません。どうすれば?

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「すごいね!」と言いながら、心が削られていく

「大変そうだね、私はもうその仕事、とっくに終わらせちゃったけど」 「彼氏さん、優しいんだね。うちは、記念日に〇〇(高級レストラン)に連れて行ってくれたよ」 「あなたのためを思って言うけど、もっとこうした方がいいんじゃない?」

友人からの、悪気のない(ように見える)言葉の数々。 こちらも大人の対応として、「すごいね!」「さすがだね!」と、笑顔で返そうと努力する。 しかし、心の中では、嫉妬、劣等感、怒りが渦巻き、笑顔は引きつり、ただただ、心が削られていく。 そして、別れた後には、どっと疲れてしまう。

「友達だから、関係を壊したくない。でも、もう会うのがしんどい…」 あなたも、そんな板挟みの苦しみを、一人で抱えてはいませんか。

なぜ、あなたの友人は“山”に登りたがるのか?

そもそも、なぜ、その友人は、あなたに対して「マウント」を取ろうとするのでしょうか。 その心理を、アドラー心理学の視点から解き明かすと、少し意外な真実が見えてきます。

結論から言うと、その友人は、あなたを見下しているのではなく、実は、あなたに対して強烈な「劣等感」を抱いている可能性が高いのです。 マウンティングの正体は、「劣等感」の、痛々しいほどの裏返しなのです。

「ありのままの自分では、この人に勝てない」 そう、心のどこかで感じているからこそ、学歴、年収、パートナー、持ち物といった、外的な“鎧”をまとって、必死であなたより高い“山”に登り、自分の優位性を示そうとするのです。

その友人は、あなたを対等な「仲間」としてではなく、常に勝ち負けを意識する「ライバル」と見なし、あなたに対して、不毛な「権力争い」を仕掛けてきているのです。

相手の“山”には、登らない。それが、大人の対応

この、不毛な競争ゲームから、あなたの心を守るための、最も重要で、力強い心構え。 それは、相手が必死で登っている、その“権力争い”という名の山に、あなたは決して一緒に登らない、ということです。

ここで、「課題の分離」をしましょう。 友人が、あなたに対して劣等感を抱き、マウントを取ることでしか自分の価値を確認できないのは、悲しいことですが、それは、「友人の課題」です。 あなたの課題は、その未熟な挑発に乗り、同じ土俵で張り合ったり、心をすり減らしたりすることではありません。あなたの課題は、自分の心の平穏を守り、その上で、友人との関係を今後どうしていくかを、あなた自身が「決断」することなのです。

笑顔で“スルー”するための、具体的な心の技術

では、具体的に、どう振る舞えばいいのでしょうか。 大切なのは、無理に笑顔を作ることではありません。相手の権力争いのゲームには参加しない、という、静かで、しかし、毅然とした態度を示すことです。

  • 技術1:無表情で、ただ「事実」を繰り返す
    • 友人:「記念日に、〇〇に連れて行ってもらったんだ」
    • あなた:「へえ、〇〇に行ったんだ」
    • 「すごいね!」といった評価の言葉を、一切加えない。ただ、相手の言った事実を、感情を込めずに繰り返す。相手は、期待した反応(羨望や嫉妬)が得られず、拍子抜けします。

  • 技術2:全く別の話題に、切り替える
    • 友人:「このバッグ、限定品で、手に入れるの大変だったんだから」
    • あなた:「そうなんだ。あ、そういえば、〇〇の映画、もう観た?」
    • 相手のマウントを、完全に「聞こえなかったこと」にして、全く関係のない、あなたが話したい話題を提供するのです。

  • 技術3:相手の“隠れた不安”に、光を当てる(上級編)
    • 友人:「仕事、大変そうだね。私には、とても真似できないなあ(という体で、自分の余裕をアピール)」
    • あなた:「〇〇(友人)は、今の仕事、すごく順調なんだね。何か、目標とか、逆に不安なこととかって、あったりするの?」
    • 相手の自慢の裏にあるであろう、不安や努力といった、人間的な側面に、あえて質問で切り込む。これは、相手を「マウントを取るモンスター」ではなく、一人の「悩める仲間」として扱う、非常に高度な勇気づけのアプローチです。

無理に笑顔で対応する必要はありません。 相手の土俵に上がらず、ただ、華麗に受け流す。 それが、あなたの尊厳を守る、最も賢明な大人の対応なのです。


長年の友人との関係だからこそ、どう距離を取ればいいかわからない。相手のマウントに、どうしても感情が揺さぶられてしまう。そのお気持ち、よくわかります。

カウンセリングでは、あなたがなぜその友人の言葉に過剰に反応してしまうのか、その背景にあるあなた自身のライフスタイル(劣等感など)を見つめ直します。そして、相手の土俵に乗らず、ご自身の心の平穏を守るための、具体的なコミュニケーションのトレーニングを、伴走者としてサポートさせていただきます。

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