日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
一日の終わりに、ため息をつくあなたへ
今日やるべきだったタスクリスト。ほとんど、チェックが入っていない…。 ジムに行こうと思っていたのに、結局、ソファから動けなかった。 友人に連絡しようと思っていたのに、気づけば一日が終わっていた。 ああ、また今日も、たいして何もできなかった…。
私たちは、一日の価値を、「今日、何をしたか(Doing)」という、目に見える“成果”だけで測ってしまいがちです。 そして、その物差しで自分を測った結果、「できなかった自分」に対して、自己嫌悪や無力感を抱き、夜、一人で静かに、ため息をつく。 そんな、苦しい習慣を、繰り返してはいませんか。
「しなかった」のではなく、「“しない”ことを選んだ」あなた
ここで、アドラー心理学の「目的論」の視点から、その状況を全く違う角度で見てみましょう。 あなたは、ただ無気力に「できなかった」のではありません。 あなたは、数ある選択肢の中から、無意識のうちに、「“それ”をしない」ということを、主体的に“選択”したのです。
例えば、「ジムに行かなかった」という、その“しない”という選択。 それは、単なる怠惰ではないのかもしれません。その裏には、 「疲弊した心と身体を、今は休ませるべきだ」という、自己防衛の目的があったのかもしれません。 あるいは、「ジムに行くよりも、家で家族とゆっくり過ごす時間の方が、今の私には大切だ」という、別の価値を選択した、ということなのかもしれません。
このように、「しなかったこと」の裏には、あなた自身が、その瞬間に最善だと判断した、何らかのポジティブな(あるいは、自己防衛的な)意図や目的が、必ず隠されているのです。
あなたの「非行為」が教えてくれる、本当の心の声
ですから、「しなかったこと」を、自己嫌悪の材料にするのは、もうやめにしましょう。 代わりに、それを自分自身を深く理解するための、貴重な“手がかり”として、捉え直してみませんか。 あなたの「しなかった」という行動は、あなたの心が発している、正直なメッセージなのです。
- もし、あなたが「友人への連絡を、しなかった」のなら…
- それは、あなたが「冷たい人間」だからではありません。本当は、「その友人との関係に、少し疲れを感じていて、今は一人の時間が必要だ」という、心のサインなのかもしれません。
- それは、あなたが「冷たい人間」だからではありません。本当は、「その友人との関係に、少し疲れを感じていて、今は一人の時間が必要だ」という、心のサインなのかもしれません。
- もし、あなたが「新しい勉強を、始めなかった」のなら…
- それは、あなたが「向上心がない」からではありません。本当は、「失敗することを恐れている」か、あるいは「心の底では、それに価値を感じていない」という、本音の表れなのかもしれません。
- それは、あなたが「向上心がない」からではありません。本当は、「失敗することを恐れている」か、あるいは「心の底では、それに価値を感じていない」という、本音の表れなのかもしれません。
あなたの「しなかったこと」リストは、「ダメな部分」のリストではありません。 それは、あなたの「本当の願い」や「隠れた恐れ」、そして、「今のあなたにとって、本当に大切なこと」が書かれた、秘密の地図なのです。
自分を責めるのをやめ、自分を“理解”する
では、この気づきを、どう未来に活かせばいいのでしょうか。
ステップ1:「できなかった」自分を、罰するのをやめる まずは、「ああ、自分は今、〇〇を避けたかったんだな」「今は、休息が必要だったんだな」と、その選択の裏にある目的を、ただ理解し、承認してあげましょう。「そうか、そうだったのか」と。これが「自己受容」の第一歩です。
ステップ2:「To-Doリスト」の隣に、「Not-To-Doリスト」を作ってみる 一日の終わりに、あえて「今日、自分が“しなかった”こと」を書き出してみる。そして、その一つひとつについて、「それをしなかったことで、自分はどんなメリットを得たか?何を守りたかったか?」と考えてみるのです。
ステップ3:本当の願いに沿った、次の一歩を選択する もし、「友人への連絡をしなかった」理由が、「疲れているから」だとわかったなら、次の一歩は、無理に連絡することではなく、「自分に、十分な休息を与える」ことかもしれません。 自分を責めるエネルギーを、自分の本当の願いを叶えるための、建設的なエネルギーへと、転換していきましょう。
私たちは、常に何かを達成し続ける、完璧な機械ではありません。 時には立ち止まり、何もしないことを選ぶ。それもまた、豊かで、人間らしい、勇気ある生き方です。 あなたが今日「しなかったこと」は、明日のあなたを、よりあなたらしく輝かせるための、大切な準備期間なのかもしれません。
それでも、「何もしなかった自分」を、どうしても責めてしまう。自分が「しない」ことを選んでいる目的が、自分ではよくわからない。そんな風に、一人で悩んでしまうこともあるでしょう。
カウンセリングは、あなたの「非行為」の裏にある、無意識の目的やライフスタイルを、安全な空間で一緒に探求する場所です。自己嫌悪のループから抜け出し、ご自身の本当の願いに沿った、主体的な人生を選択していくお手伝いをさせていただきます。
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お会いできるのを楽しみにしています。
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