日本アドラー心理学振흥会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
「強い自分」でいなければ、と必死だった
人前で、涙を見せない。 自分の辛い過去や、失敗談は、誰にも打ち明けない。 常に、周りから「頼れる人」「しっかりした人」だと思われているように、シャンと背筋を伸ばして、笑顔の仮面を貼り付ける。
私たちは、いつの間にか「弱さを見せることは、負けであり、恥である」という、社会の作り上げた幻想に、心を縛られてしまっています。 そして、その「強い自分」という、重たい鎧を、一人きりで、必死で支え続けているのです。 その鎧は、確かにあなたを、他者からの軽蔑や批判から守ってくれるかもしれません。しかし、その代償として、あなたは誰にも頼れず、誰とも心から繋がれないという、深く、冷たい孤独を、その心に抱え込むことになるのです。
なぜ、私たちは「弱さ」を恐れるのか?
なぜ、私たちはこれほどまでに、「弱さ」を見せることを恐れるのでしょうか。 それは、私たちが対人関係を「縦の関係」、つまり「上か下か」「勝ちか負けか」で捉える、不健全な競争社会に生きているからです。 この「縦の関係」の土俵の上では、弱さを見せることは、すなわち「負け」を意味し、相手に「支配される隙」を与えることだと、無意識のうちに思い込んでしまうのです。
「弱さ」の開示は、最強の“勇気づけ”
しかし、アドラー心理学は、この苦しい競争のゲームから降り、「横の関係」という、新しい地平へと私たちを誘います。 「横の関係」とは、お互いを「敵」や「競争相手」ではなく、対等な「仲間」として、ありのままに尊重しあう関係のことです。
そして、この「横の関係」においては、「弱さ」の持つ意味が、180度、劇的に変わります。 あなたの弱さや、不完全さ、失敗談は、もはや恥ずべきものではありません。 それらは、あなたの人間的な魅力であり、何よりも、あなたの周りの人々を、深く勇気づける力になるのです。
考えてみてください。 完璧で、非の打ち所のないヒーローよりも、たくさんの失敗をしながらも、不器用に進んでいく主人公の方に、私たちは、より強く共感し、応援したくなるのではないでしょうか。 あなたの弱さは、周りの人々に、こう語りかけます。 「あなただけじゃない。私も、こんなに不完全で、弱い人間なんだ。だから、大丈夫だよ」と。 そのメッセージは、相手に「完璧でなくてもいいんだ」という安心感と、「一人じゃないんだ」という所属感を与え、その人の内に眠る勇気を、優しく呼び覚ますのです。
あなたの“弱さ”を、誰かの“光”に変える方法
では、どうすれば、その重たい鎧を脱ぎ捨て、自分の弱さを、誰かを勇気づける力に変えることができるのでしょうか。
ステップ1:「自己受容」から始める まずは、あなた自身が、自分の弱さや不完全さを、「ダメな部分」としてではなく、「自分らしさの一部」として、ただ、ありのままに受け入れることです。「こんな自分でも、まあいいか」と、自分にOKを出してあげる。それが、すべての始まりです。
ステップ2:信頼できる仲間に、小さな弱さを“自己開示”してみる いきなり大勢の前で、すべてをさらけ出す必要はありません。心から信頼できるパートナーや、親友に、「実は、こんなことで悩んでいて…」「昔、こんな失敗をしちゃってさ…」と、ほんの少しだけ、あなたの心の柔らかな部分を見せてみるのです。 この「自己開示」は、「私は、あなたのことを仲間として信頼しています」という、何よりのメッセージになります。
ステップ3:「助けてほしい」と、正直に伝える勇気を持つ 一人で抱え込まず、「助けてほしい」「手伝ってほしい」と、勇気を出して言ってみましょう。それは、あなたの「弱さ」の証明ではなく、相手に「貢献する喜び」をプレゼントする、最高の「勇気づけ」なのです。
あなたの弱さは、決して、あなたの価値を下げるものではありません。 むしろ、それこそが、あなたと他者との間に、本当の意味での、温かい信頼の“橋”を架ける、かけがえのない宝物なのです。 その宝物を、これ以上、重たい鎧の下に隠しておくのは、もったいないとは思いませんか。
長年、強い自分でいることが当たり前になっていた人にとって、自分の弱さを見せるのは、非常に怖いことかもしれません。「見下されたらどうしよう」という不安に、足がすくむこともあるでしょう。 もし、あなたがその一歩を踏み出すためのサポートが必要だと感じたら、一度お話しに来ませんか。
カウンセリングは、あなたがどんな弱さを見せても、決して評価されたり、裁かれたりすることのない、絶対的な「安全基地」です。そこで、安心して鎧を脱ぐ練習をしながら、あなたの弱さを、あなたと、あなたの周りの人々を幸せにする「力」に変えていくお手伝いをさせていただきます。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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