日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
白いキャンバスの前で、固まる時間
新しい企画を考えなければならないのに、パソコンの真っ白な画面を前に、一行も書き出すことができない。 「何か、誰も思いつかないような、画期的なアイデアを出さなければ」という、見えないプレッシャーに押しつぶされそうになる。 過去の自分の成功作と比べてしまい、「あれ以上のものは、もう作れないんじゃないか」と、筆がぴたりと止まってしまう。
こうした、創造における「産みの苦しみ」。 多くの人が、創造性とは、一部の天才にだけ訪れる“天啓”や“ひらめき”のようなものだと信じています。そして、その「完璧なアイデア」が、いつか自分にも舞い降りてくるのを、ただひたすら待ち続けているのです。
あなたの創造性を“殺している”犯人は誰か?
では、なぜ、アイデアの泉は枯れてしまうのでしょうか。 アドラー心理学の視点から見ると、あなたの創造性をブロックしている、厄介な“犯人”たちの姿が見えてきます。
犯人1:完璧主義という名の“批評家” あなたの頭の中には、「中途半半端なものを出すくらいなら、何もしない方がマシだ」「100点でなければ、世に出す価値はない」とささやく、非常に厳しい批評家が住んでいます。この批評家が、生まれたばかりの、不完全で、しかし可能性に満ちたアイデアの“芽”を、片っ端から摘み取ってしまっているのです。
犯人2:劣等コンプレックスという名の“言い訳” 「自分には、あの人のような才能はないから」「専門的な教育を受けていないから、無理だ」。こうした「〇〇がないから、できない」という劣等コンプレックスが、「創造しないこと」の便利な言い訳になっていませんか。これは、挑戦して「やっぱり自分はダメだった」と傷つくことから、自分を守るための、不健全な戦略です。
犯人3:孤立という名の“無菌室” 自分の殻に閉じこもり、一人だけで完璧なものを作り上げようとしていませんか。アドラー心理学では、すべての創造は、共同体との関わりの中で生まれると考えます。他者からの批判を恐れ、自分の未熟なアイデアを誰にも見せない。その無菌室のような環境では、新しい生命は決して育たないのです。
「不完全なまま始める勇気」を持つ
この創造性の危機から脱出するための、最も重要な心構え。 それは、「完璧なアイデアが降りてくる」のを待つのではなく、「不完全なまま、とにかく始めてみる」という勇気を持つことです。
アドラー心理学では、創造性もまた、一部の人だけの特別な才能ではなく、練習によって磨かれる**「技術」であり「態度」だと考えます。 完璧な完成品を目指すのではなく、まずは「叩き台」としての60点のアイデア**を、とにかくアウトプットしてみる。その、荒削りで、矛盾だらけの不完全なカケラこそが、すべての創造の、かけがえのない始まりなのです。
創造の泉を、再び湧き上がらせる方法
では、具体的にどうすれば、その最初の一歩を踏み出せるのでしょうか。
ステップ1:「量」が「質」を生む、と知る 傑作を一つ生み出そうとするから、手が止まります。まずは、質を問わずに、たくさんの量を出すことに集中しましょう。くだらないアイデア、未完成なメモ、意味不明な落書き。そのガラクタの山の中にこそ、思いがけないダイヤモンドの原石が隠されています。
ステップ2:他者を「協力者」として、巻き込む 一人で抱え込まず、信頼できる仲間に、その不完全なアイデアを話してみましょう。「こんなことを考えているんだけど、どう思う?」と。他者の視点という“化学反応”は、自分一人では到底たどり着けなかった、新しい発想や、盲点に気づかせてくれます。これこそが、「共同体感覚」の実践です。
ステップ3:「貢献」に、目的をシフトする 「自分が認められたい」「すごいと思われたい」という自己中心的な承認欲求から、「このアイデアで、誰を喜ばせられるだろうか」「この作品で、誰の心を動かせるだろうか」という、「他者貢献」へと、創造の目的をシフトさせてみましょう。 「誰かのために」という温かい思いは、個人的な劣等感や恐怖心を超えて、私たちに力強い創造のエネルギーを与えてくれるのです。
創造とは、孤独な天才のひらめきを待つことではありません。 それは、不完全な自分を受け入れ、仲間と協力し、誰かへの貢献を願う、その勇気ある一歩から始まる、どこまでも人間的な営みなのです。
スランプから抜け出せず、自分にはもう何も生み出せないのではないか、と絶望している。不完全な自分のアイデアを、人に見せるのが怖い。そんな風に悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
カウンセリングでは、あなたの創造性をブロックしている、完璧主義や劣等コンプレックスといったライフスタイルを、安全な空間で一緒に探求します。そして、「不完全である勇気」を取り戻し、他者との協力の中で、再び創造の喜びを見出していくお手伝いをさせていただきます。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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