日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。
笑顔のまま、フリーズする時間
周りの楽しそうな会話の輪に、どう入っていけばいいかわからない。 「何か気の利いたことを言わなければ」と焦るけれど、何も思いつかず、ただ笑顔で頷いているだけ。 自分の話はきっとつまらないだろう、スベってしまったらどうしよう、と思うと、怖くて口を開けない。 そして、飲み会が終わった後には、「ああ、今日も何も話せなかった…」という、ひどい自己嫌悪と疲労感に襲われる。
まるで、お地蔵さんのように、にこやかな表情のまま、石のように固まってしまう。 あなたにも、そんな経験はありませんか。 楽しいはずの飲み会が、いつの間にか、あなたのコミュニケーション能力を試される**「苦痛な試験会場」**になってしまっているのです。
なぜ、あなたは“地蔵”になるのか? – スポットライトへの渇望
なぜ、私たちはそこまで「話さなければ」というプレッシャーを感じてしまうのでしょうか。 その背景には、「自分が、周りからどう見られるか」という、強すぎる「自己への関心」があります。
- 「承認欲求」という名の呪い 「面白い話をして、皆から注目されたい」「すごいと思われたい」「輪の中心にいたい」。この、他者からの承認を過剰に求める気持ちが、あなたに「何か話さなければ価値がない」という強迫観念を抱かせているのです。
- 「劣等感」という、見えないブレーキ 「自分の話なんて、誰も興味ないだろう」「あの人のように、面白くはなれない」。他者との比較から生まれる劣等感が、あなたの口に、見えないブレーキをかけているのです。
あなたの意識が、すべて自分自身に向いている時、周りの会話の内容は、ほとんど頭に入ってきません。だから、ますます話せなくなる、という悪循環に陥ってしまうのです。
「話す」ことから、「聴く」ことへ – 貢献という名のパラダイムシフト
この苦しいゲームから降りるための、根本的な視点の転換があります。 それは、「自分がどう話すか」という自己中心的な関心を、きっぱりと手放すこと。 そして、「相手に、いかに気持ちよく話してもらうか」という他者への関心へと、意識の焦点をシフトさせることです。
これこそが、アドラー心理学の言う「他者貢献」の考え方です。 飲み会の場において、最大の貢献とは、面白い話を披露することではありません。相手の話を、真剣に、そして楽しそうに聴くことなのです。 「聴く」ことは、受け身で、退屈な行為ではありません。それは、相手を勇気づけ、その場の価値を高める、極めて積極的で、創造的な行為なのです。
最強の武器は「質問」である – 上手な聞き方の技術
では、具体的にどうすれば「聞き上手」になれるのでしょうか。明日から使える、簡単な技術をご紹介します。
スキル1:魔法の相槌「さしすせそ」 まずは、相槌のバリエーションを増やしてみましょう。 「さすがですね!」 「しらなかったです、勉強になります!」 「すごいですね!」 「せんすいいですね!」 「そうなんですね!」 これらの言葉は、相手の話を肯定し、もっと話したい、という気持ちにさせてくれます。
スキル2:最高の貢献、「質問」をする あなたが無理に面白い話をする必要は、全くありません。ただ、相手の話に、純粋な好奇心を持って、質問をするだけでいいのです。 「それで、最終的にどうなったんですか?」 「その時、〇〇さんはどう感じたんですか?」 「もう少し、詳しく教えてもらえますか?」
質問をすることは、「あなたの話に、私は心から興味があります」という、最高の敬意と関心の表明です。人は誰でも、自分の話に興味を持ってくれる人が大好きです。あなたがただ熱心な聞き役になるだけで、相手は勝手にあなたに好感を抱き、「この人と話していると、楽しいな」と感じてくれるのです。
あなたは、舞台の上でスポットライトを浴びる「スター」になる必要はありません。 客席から、舞台上のスターに、温かい拍手と声援(質問)を送る「最高の観客」になればいい。 その時、あなたは飲み会の“地蔵”ではなく、その場にいる全員を幸せにする、“福の神”のような存在になっているはずです。
長年の劣等感や承認欲求から、どうしても「自分がどう見られているか」という意識から抜け出せない。質問しようにも、何をどう聞けばいいかわからず、頭が真っ白になってしまう。そんな方もいらっしゃるでしょう。
カウンセリングでは、あなたがなぜそれほどまでに承認を求めてしまうのか、そのライフスタイルを安全な空間で一緒に探求します。そして、「話す」ことのプレッシャーから解放され、「聴く」ことの喜びに目覚めるための具体的な練習を、伴走者としてサポートさせていただきます。
初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

お会いできるのを楽しみにしています。
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