もしも、あなたの上司があのアドラーだったら? – 職場のお悩みを劇的に変える5つの言葉 –

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

あなたの隣に、アドラー部長がやってきた

もしも、ある日のこと。 あなたの職場に、口ひげをたくわえた、いかにも思慮深そうな紳士がやってきて、こう挨拶したとしたら、どうでしょう。 「本日付けで部長に着任した、アルフレッド・アドラーだ。よろしく頼むよ」

仕事のミス、やる気のない同僚、理不尽な要求、未来への不安…。 私たちが日常的に抱える、そんな職場の悩みに対して、もし上司があの“アドラー”本人だったとしたら、一体どんな言葉をかけてくれるのでしょうか。 少しだけ、そんな空想の物語にお付き合いください。

アドラー部長の“魔法の言葉”5選

シーン1:あなたが仕事でミスをして、ひどく落ち込んでいる時

ありがちな上司は、「なんでこんなミスをしたんだ!」「次から気をつけるように!」と、原因を追及し、叱責するかもしれません。

しかし、アドラー部長は、あなたの報告を聞いた後、穏やかにこう言うでしょう。 「素晴らしい失敗だね。君が挑戦した、何よりの証拠だ。さて、この経験から、私たちは何を学べるだろうか?」

彼は、失敗を「悪」とは捉えません。むしろ、それは課題に取り組んだ「勇気」の証だと考えます。そして、「なぜ失敗したか」という過去の原因探しではなく、「この経験を、未来にどう活かすか」という「目的」に、あなたの意識を向けさせてくれるのです。

シーン2:やる気のない同僚のせいで、仕事が進まずイライラしている時

ありがちな上司は、「あいつはダメだな。俺からガツンと言っておくよ」と、介入しようとするかもしれません。

しかし、アドラー部長は、あなたの訴えに耳を傾けた後、静かにこう尋ねます。 「彼のやる気を出すかどうかは、彼の課題だ。君の課題ではないね。君の課題は、彼がどうであれ、このチームに貢献することだ。そのために、今の君にできることは何だろうか?」

これは、アドラー心理学の核心である「課題の分離」です。他人の課題に土足で踏み込まず、まずは自分自身の課題に集中することを促します。あなたを、他人に振り回される人生から解放してくれる言葉です。

シーン3:あなたが新しい企画への挑戦を、失敗が怖くてためらっている時

ありがちな上司は、「いいから、やってみろ!」と、無責任に背中を押すかもしれません。

しかし、アドラー部長は、あなたの不安な表情を見て、こう微笑みます。 「完璧な企画書など、この世には存在しないよ。まずは60点の出来でいいから、私に見せてくれないか。君のその新しいアイデアが、私たちの会社という共同体にとって、どんな貢献になるか、一緒に考えてみようじゃないか」

彼は、あなたの「不完全である勇気」を引き出そうとします。そして、その挑戦が、個人的な成功のためではなく、「共同体への貢献」という、より大きな喜びにつながるのだということを、教えてくれるのです。

シーン4:職場の人間関係がギスギスし、あなたがうんざりしている時

ありがちな上司は、「もっと仲良くやれよ」と精神論を語ったり、「誰が悪いんだ」と犯人捜しを始めたりするかもしれません。

しかし、アドラー部長は、静かにこう提案します。 「誰が正しいか、間違っているかを議論しても、何も始まらない。それは不毛な権力争いだ。それよりも、『どうすれば、私たちはもっと楽しく、協力的に仕事ができるか?』その一点を、みんなで話し合わないか。まずは、君から始めてみたまえ」

彼は、対立を「権力争い」と見抜き、その土俵から降りることを促します。そして、未来志向の「協力」という、建設的な「横の関係」を築くための、具体的な一歩を勇気づけてくれるのです。

シーン5:あなたが「自分には、何の価値もない」と、自信を失っている時

ありがちな上司は、「そんなことないよ、君はすごいじゃないか」と、根拠のない励ましをくれるかもしれません。

しかし、アドラー部長は、あなたの目を見て、はっきりとこう言うでしょう。 「君が、今ここにいる。それだけで、私たちの共同体にとって、かけがえのない価値があるのだよ」

彼は、条件付きの評価(doing:何ができるか)ではなく、無条件の信頼(being:存在そのもの)を、あなたに示します。この、存在レベルでの「勇気づけ」こそが、人の心の奥底に、本当の自信を灯すのです。

あなた自身が、あなたのアドラー部長になる

残念ながら、アドラー部長は、あなたの職場には現れないかもしれません。 しかし、彼の言葉や思想は、いつでもあなたの心の中に招き入れることができます。 困難な状況に陥った時、カチンとくる一言を言われた時、自信を失いそうになった時、心の中で、こう自問してみてください。 「もしも、アドラー部長がいたら、今の私に、何て声をかけてくれるだろう?」と。

あなた自身が、あなたにとっての、最高の“上司”になる。 それこそが、アドラー心理学が目指す、自立した個人の姿なのです。


アドラー心理学の考え方は理解できても、いざとなると、感情的になったり、長年の習慣に戻ってしまったりするものです。自分の中に「アドラー部長」を育てるには、専門的なトレーニングが必要な場合もあります。

カウンセリングは、まさにこの「アドラー部長」の視点を、あなたの具体的な悩みに適用し、腑に落ちるまで一緒に考えていく場所です。そして、あなた自身が、自分と周りの人々を勇気づけられるようになるための具体的な練習を、伴走者としてサポートさせていただきます。


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