その”問題行動”、本当のメッセージに気づいていますか?

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「どうして、こんなことを…」という怒りと絶望

万引きを繰り返してしまう、我が子。 提出物を、何度注意しても出してこない部下。 わざと、約束を破るようなことばかりするパートナー。

こうした「問題行動」に直面した時、私たちの心は、「信じられない」という衝撃、そして「どうして、こんなことをするんだ!」という怒り失望でいっぱいになります。 そして、つい「何が原因なんだろう?」「育て方が悪かったのか?」「本人の性格に問題があるのか?」と、過去の原因探しに陥ったり、「こんな悪いことは、二度とさせないように、厳しく罰しなければ」と、罰による解決策に飛びついたりしてしまいます。 しかし、そのどちらも、根本的な解決には至りません。

行動の「なぜ?」ではなく、「何のために?」を問う

アドラー心理学は、この「問題行動」を、全く違う視点から見つめます。 それは、「目的論」という考え方です。

「〇〇が原因で、問題行動を起こす」のではなく、「ある“目的”を達成するために、その問題行動を(無意識に)選択し、使っている」と捉え直すのです。 つまり、問うべきは「なぜ、そんなことをしたのか?(原因)」ではなく、「その行動を通して、あなたは何を達成しようとしているのか?(目的)」ということ。

そう考えると、問題行動は、それ自体が問題なのではなく、相手が発している、言葉にならない「SOSメッセージ」であり、不器用な「コミュニケーションの試み」なのだと、見えてくるのです。

問題行動の、5つの目的

アドラー心理学では、不適切な行動の目的を、主に5つの段階で説明します。相手の行動の裏に、どのメッセージが隠れているかを探るヒントにしてみてください。

目的1:賞賛の要求 「もっと自分を見てほしい」「注目されたい」という願い。良いことで注目されない時、悪いことで注目を集めようとします。

目的2:権力争い 「あなたの言う通りにはならない」「自分のボスは、自分だ」という、支配への抵抗。ルールを破ることで、自分の力を誇示しようとします。

目的3:復讐 「自分はこんなに傷ついているんだ」「あなたを困らせて、仕返ししてやりたい」という、満たされなかった愛情への、歪んだ訴えです。

目的4:無能の証明 「どうせ私なんて、何をやってもダメなんだ」と、自らの無能さをアピールします。期待されることのプレッシャーから逃れるために、「自分には何もできない」と証明しようとするのです。

目的5:感情の表現 言葉にできない強い感情(悲しみ、寂しさ、怒りなど)を、行動を通して表現している状態です。

「罰」ではなく、「勇気づけ」で応える

では、この「SOSメッセージ」に、私たちはどう応えればいいのでしょうか。 アドラー心理学の答えは明確です。罰や叱責では、何も解決しない、ということ。罰は、さらなる反発や、より巧妙な隠蔽を生むだけです。

必要なのは、相手の行動の「目的」を理解し、その上で「勇気づけ」を行うことです。

ステップ1:行動の“目的”を推測し、共感する まずは、相手の心の状態に寄り添います。「注目されたかったんだね」「悔しい気持ちだったんだね」と、その行動の裏にある本当の気持ち(一次感情)を、言葉にしてあげるのです。

ステップ2:不適切な行動には、毅然と、しかし冷静に対応する 行動そのものを、容認はしません。「万引きは、いけないことだ」とはっきりと伝えます。しかし、それは感情的に怒鳴るのではなく、冷静に、社会のルールとして伝えます。これは「課題の分離」であり、行動の結果責任を、本人に学んでもらうプロセスです。

ステップ3:別の“健全な方法”で、目的を達成できることを教える そして、最も大切なのがこのステップです。 「注目されたいなら、問題行動ではなく、〇〇でみんなに貢献してみるのはどうだろう?」 「悔しい気持ちは、そんな風にぶつけるのではなく、言葉で伝えてくれていいんだよ」 不適切な行動に頼らなくても、あなたの願いは、もっと建設的な方法で叶えることができる、という希望の道筋を、一緒に見つけてあげるのです。

問題行動は、あなたを困らせるためのものではありません。 それは、「助けてほしい」という、相手からの、必死のメッセージなのです。 その声に耳を澄まし、罰ではなく、勇気で応えること。その関わりこそが、本当の意味で相手を救い、二人の関係を再構築する、唯一の道なのです。


お子さんや部下の問題行動がエスカレートし、どうしていいかわからず、一人で抱え込んではいませんか。 もし、あなたがその対応に疲れ果て、途方に暮れているのなら、一度お話しに来ませんか。

カウンセリングでは、相手の「問題行動」の本当の「目的」を、冷静に、客観的に分析し、その背景にあるライフスタイルを理解するお手伝いをします。そして、罰ではなく、「勇気づけ」に基づいた、効果的で温かい関わり方を、一緒に考え、練習していきましょう。


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