つい「めんどくさい」と思ってしまう、その本当の理由

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「めんどくさい」という、最強の言い訳

山積みの洗い物を見て、「ああ、めんどくさい…」と、ついスマートフォンに手が伸びる。 友人からのLINEに、「返信するの、めんどくさいな…」と、既読のまま放置してしまう。 「新しいスキルを身につけたい」とは思うけど、「勉強するのが、めんどくさい」が先に立って、一歩も踏み出せない。

この「めんどくさい」という一言は、私たちの人生において、実に多くの「やるべきこと」や「やりたいこと」を、いとも簡単に遠ざけてしまいます。 そして、この言葉ほど、行動しない自分を正当化するための、便利で、反論の余地のない「言い訳」はないかもしれません。「だって、めんどくさいんだから、仕方ないじゃないか」と。

その「めんどくさい」、本当の“目的”は何ですか?

「自分は、なんてめんどくさがり屋なんだろう」と、性格のせいにして諦めてしまう前に、アドラー心理学の「目的論」の視点から、その感情の裏側を覗いてみましょう。

私たちは、「課題が面倒だから、めんどくさいと感じる」のではなく、「“その課題と向き合わない”という目的」を達成するために、『めんどくさい』という感情を、無意識のうちに作り出し、利用しているのかもしれないのです。

では、その“目的”とは、一体何でしょうか。

  • 失敗して、自分の“無能さ”と向き合うのを避けたい 新しい挑戦には、失敗がつきものです。もし挑戦してうまくいかなかったら、「自分には才能がなかった」「能力が低かった」という事実を突きつけられるかもしれない。その恐怖を回避するために、「めんどくさい」という感情で、挑戦の入り口を固く閉ざしているのです。

  • 他者との関わりで、傷つくのを避けたい 人間関係は、喜びももたらしますが、対立や拒絶といった痛みを伴うこともあります。「人付き合いがめんどくさい」と感じるのは、そうした対人関係のリスクから、自分を守りたいという目的があるのかもしれません。

  • 現状維持という“楽”な状態を続けたい 変化には、エネルギーが必要です。「めんどくさい」という感情は、今の楽な状態、慣れ親しんだコンフォートゾーンから出ないための、非常に強力なブレーキとして機能しているのです。

「めんどくさい」は、あなたの“本音”の翻訳機

このように見てくると、「めんどくさい」という感情は、ただの厄介者ではないことに気づきます。 それを、敵視したり、無理になくそうとしたりするのではなく、あなたの心の奥底にある「本当の気持ち(本音)」を教えてくれる、優秀な“翻訳機”だと捉え直してみませんか。

「めんどくさい」と感じたら、「はい、また言い訳が始まった」と切り捨てるのではなく、 「おや、めんどくさいと感じているぞ。私は今、何を恐れているんだろう? 何を避けたいんだろう?」 と、自分自身に優しく問いかけてみるのです。

その問いの先に、「失敗するのが怖いんだな」「人にどう思われるか、不安なんだな」「本当は、これに価値を感じていないんだな」といった、あなた自身も気づいていなかった、より深い本音が見えてくるはずです。

「めんどくさい」と、上手に付き合っていく方法

「めんどくさい」の裏にある本音に気づいた上で、次の一歩を踏み出すための、具体的なヒントをご紹介します。

1.感情と行動を“分離”する 「めんどくさい」と感じていても、行動はできます。「やる気」がなくても手は動かせるように、感情と行動は必ずしも一致しなくてもいいのです。「ああ、めんどくさいなあ、と思いながら、とりあえず手を動かしてみるか」と、自分に許可を出してみましょう。

2.最初の“レンガ”を一つだけ動かす 「洗い物がめんどくさい」なら、目標は「シンクにあるお皿を一枚だけ洗う」。「勉強がめんどくさい」なら、「テキストを1ページだけ開いて、眺める」。その、あまりにも簡単で、ばかばかしく思えるほどの最初の小さな一歩が、次の行動へのハードルを劇的に下げてくれます。

3.行動した後の「貢献感」を味わう たとえ一枚でもお皿を洗えたなら、「ああ、少しスッキリしたな。これで家族も使いやすいだろう」と、その行動がもたらしたポジティブな結果(貢献感)を、意識的に味わってみてください。この「やって良かった」という小さな感覚が、次に「めんどくさい」がやってきた時の、あなたを支える勇気になるのです。

「めんどくさい」という感情は、なくすべき敵ではありません。 それは、あなたの本音を教えてくれる、不器用なメッセンジャーです。 その声に耳を傾け、その上で、「それでも私は、一歩前に進む」と、自らの意思で選択すること。その繰り返しの先に、昨日とは違うあなたがいるはずです。


「めんどくさい」という感情の裏にある、ご自身の本当の目的に気づくのは、一人では難しいことかもしれません。また、わかっていても、どうしても体が動かない、ということもあるでしょう。 もしあなたが、その不便なループから抜け出し、軽やかに行動できる自分になりたいと願うなら、一度お話しに来ませんか。

カウンセリングでは、あなたがなぜ「めんどくさい」というブレーキを踏み続けてしまうのか、その根深いライフスタイルを安全な空間で一緒に探求します。そして、その感情と上手に付き合いながら、あなたらしい一歩を踏み出すための「勇気づけ」をさせていただきます。

初回カウンセリング(オンライン)はこちらからお申し込みいただけます。

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