なぜかいつも孤独を感じるあなたへ – “ここにいていい”と思える心の育て方

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

人の中にいるのに、なぜか孤独

大勢での食事会。周りは楽しそうに笑い合っているのに、自分だけがその輪から弾き出されたように感じる。 家族と一緒にリビングで過ごしていても、心に一枚、見えない膜が張っているような疎外感。 SNSでたくさんの「いいね」がついても、その一瞬後には、また虚しさが胸に広がる。

物理的に一人でいる「孤独」とは違う、人の中にいるからこそ、かえって浮き彫りになるこの感覚。 それは、「自分は誰からも理解されていない」「ここに自分の居場所はない」という、深く静かな「孤独感」です。

この正体不明の孤独感は、どこからやってくるのでしょうか。

あなたの幸せの鍵、「共同体感覚」

アドラー心理学には、人の心の健康と幸福の指標として、「共同体感覚」という非常に大切な概念があります。

「共同体」と聞くと、家族や職場、地域社会などを思い浮かべるかもしれません。しかし、アドラー心理学が考える共同体とは、もっと広大なものです。今ここにいる人々だけでなく、過去から未来へと続く人類全体、さらには動植物や無生物までをも含む、この宇宙そのものを指します。

そして「共同体感覚」とは、その果てしなく広大な共同体の中で、「自分はここにいていいんだ」と安心して感じられる所属感のことです。 それは、「自分は、この世界の一員として歓迎されている」という、深く根源的な信頼感とも言えるでしょう。

あなたが感じている孤独感は、まさにこの「共同体感覚」が、何らかの理由で感じられなくなっているサインなのです。

「ここにいていい」と思えない理由

では、なぜ私たちは「ここにいていい」と思えなくなってしまうのでしょうか。 その大きな理由の一つが、「自己執着」です。

「あの人は私のことをどう思っているだろう」「誰も私のことなんて気にかけてくれない」「もっと私を認めてほしい」。 このように、関心のベクトルが常に自分自身にばかり向いている時、私たちは他者を「仲間」として見ることができません。他人は、自分の期待を満たしてくれるかどうかを測る「評価者」や、自分を脅かす「敵」に見えてしまうのです。 これでは、心からのつながりを感じられるはずもありません。

そして、もう一つの理由が「他者不信」です。 「どうせわかってもらえない」「信じたら、また傷つくだけだ」という過去の経験から、自分から心に鍵をかけてしまう。傷つくことを恐れるあまり、誰とも本当の意味で関わろうとしなくなります。

この「自己執着」と「他者不信」は、結局のところ、ありのままの自分を受け入れられていない(自己受容ができていない)という一点に行き着きます。 「こんな自分では、共同体に受け入れてもらえない」という根深い思い込みが、あなたと世界の間に、冷たくて厚い壁を作ってしまっているのです。

「共同体感覚」を育む、3つのステップ

しかし、どうか希望を捨てないでください。 共同体感覚は、特別な誰かだけが持つものではなく、誰もが意識的に育んでいくことができるものです。そのための具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:自己受容(自分にOKを出す) まず、スタートは「自分を好きになる」ことではなく、「今の自分を、そのまま受け入れる」ことです。100点満点の完璧な自分を目指すのをやめましょう。できないことがあっても、欠点があっても、そんな「60点の自分」にOKを出すのです。変えられない過去や他人は手放し、変えられる「これからの自分」に目を向けます。

ステップ2:他者信頼(仲間を信じる勇気) 次に、裏切られる可能性を恐れずに、まずは自分から他者を「仲間」だと信じてみることです。これは、担保も保証もない「信頼」であり、勇気が必要です。しかし、あなたが壁を降ろさなければ、誰もあなたの心に入ってくることはできません。信じることからしか、関係は始まらないのです。

ステップ3:他者貢献(役に立つ喜びを知る) そして、これが最も重要です。それは、「自分は、共同体にとって有益である」と感じること、つまり「貢献感」を持つことです。 これは、自己犠牲のことではありません。大それたことでなくていいのです。職場でゴミ拾いを一つする。家族に「ありがとう」と伝える。友人の話を真剣に聞く。 「誰かの役に立てた」という具体的な実感が、「自分には価値がある」という感覚に変わり、それがやがて「自分はここにいていいんだ」という確かな所属感へと育っていきます。

この「自己受容」→「他者信頼」→「他者貢献」というサイクルを回し始める時、あなたを覆っていた孤独の膜は、少しずつ溶けていくはずです。


長年の孤独感は根深く、一人でこのサイクルを回し始めるのは、とても難しく感じられるかもしれません。 「貢献」と言われても、何から手をつけていいかわからない。そもそも「信頼」できる相手がいない。そう感じることもあるでしょう。

カウンセリングは、まさにこの共同体感覚を体験できる、最初の「安全な共同体」です。 そこでは、評価されることなく、ありのままの自分を受け入れてもらう経験(自己受容)ができます。カウンセラーを信じて話してみるという体験(他者信頼)を通して、話すこと自体が誰か(私)の役に立っているという実感(他者貢献)を得ることもできます。

もしあなたが、孤独という名の厚い壁の内側から一歩踏み出したいと願うなら、ぜひ一度、お話を聞かせてください。


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