「嫌われるのが怖い」が口癖の人へ

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「嫌われるのが怖い」が口癖の人へ。対人不安を乗り越えるための境界線(バウンダリー)の考え方

「こんなことを言ったら、嫌われるかもしれない…」 「誘いを断ったら、もう誘ってもらえなくなるかも…」

そんな「嫌われることへの恐怖」から、自分の気持ちを押し殺し、いつも他人の顔色をうかがって、疲れ果てていませんか?

嫌われたくない、という気持ちは、誰にでもある自然な感情です。 しかし、その思いが強くなりすぎると、私たちは「他人の期待を満たすための人生」を生きることになり、自分自身の人生を見失ってしまいます。

アドラー心理学は、この苦しい対人不安から抜け出すための、明確で力強い「処方箋」を私たちに示してくれます。

あなたの課題と、相手の課題を「分離」する

その処方箋とは、アドラー心理学の中心的な考え方である「課題の分離」です。 これは、自分の人生と他人の人生との間に、健全な「境界線(バウンダリー)」を引く、ということです。

具体的には、こう考えます。

  • 自分がどう考え、どう行動し、どんな人生を選ぶか。これは、他の誰のものでもない「自分の課題」です。
  • それに対して、相手がどう思い、どう感じ、自分を好きになるか嫌いになるか。それは、自分にはコントロールできない「相手の課題」です。

私たちは、この「相手の課題」にまで、責任を負おうとしてしまいます。 全員から好かれようと、無理な頼みを聞き入れたり、自分の意見を我慢したり…。 しかし、それは、他人の人生に土足で踏み込み、自分の人生を明け渡しているのと同じこと。これでは、心が疲弊するのも当然です。

「嫌われる勇気」が、あなたを自由にする

「課題の分離」を実践するには、ある「勇気」が必要になります。 それが、「嫌われる勇気」です。

これは、喧嘩を売ったり、わざと嫌われるような行動を取ったりすることではありません。 「自分の課題に誠実に生きる以上、自分のことを快く思わない人がいても、それは仕方のないことだ。私は、そこには介入しない」と決める、覚悟のことです。

考えてみてください。 あなたがどんなに誠実に振る舞っても、あなたのことを嫌う人は、残念ながら、います。 それは、あなたの価値とは全く関係ありません。相手の「課題」なのですから。

その、自分ではどうにもならないことにエネルギーを注ぐのをやめ、自分にコントロールできること、すなわち「自分の課題」にだけ、集中する。 その決心こそが、あなたを対人不安の呪縛から解き放ち、本当の意味で自由にしてくれるのです。

境界線を引くための、心のトレーニング

もし、あなたが「嫌われるのが怖い」と感じたら、心の中で、この境界線を引く練習をしてみてください。

  • 「ここまでは、私の課題」:自分の気持ちを正直に伝える、自分の時間を大切にする、無理な誘いは断る。
  • 「ここからは、相手の課題」:その結果、相手がどう思うか、どう感じるか。

この境界線が、あなたという大切な存在を守る「心のバリア」になります。

カウンセリングは、あなたがこの「課題の分離」を学び、健全な境界線を引くための、安全な練習の場です。 他人の評価に振り回される人生から、自分自身の人生の主人公になるために。 その「勇気」を、一緒に育んでいきましょう。

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