「どっちが正しいか」の戦いを、やめてみる

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです! 子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

「どっちが正しいか」の戦いを、やめてみる

「いや、だから、こっちの方が効率的だって」 「でも、いつもそのやり方で、結局私が大変なんじゃない」

先日、妻と些細なことで口論になりました。 キッチンの使い方、子どもの習い事の送迎、そんな日常のワンシーンです。

最初はただの意見交換だったはずなのに、気づけばお互いに一歩も引かない「どっちが正しいか」の戦いに発展していました。

相手の言い分を論破しようとしたり、過去の失敗を掘り返したり…。 こうなると、もう問題の解決が目的ではありません。相手に「負け」を認めさせ、自分が「勝つ」ことが目的になってしまっています。

アドラー心理学では、これを「権力争い」と呼びます。 そして、この権力争いを続けている限り、その関係に安らぎが訪れることはありません。

負けるが勝ち、ではなく「共通の課題」へ

ヒートアップする議論の最中、僕はふと我に返りました。 「僕が今、本当に望んでいることは何だろう?」

妻を言い負かすこと? 自分の正しさを証明すること?

違うはずです。 僕が本当に望んでいるのは、妻と協力して、私たちの子どもたちを含めた家族という「共同体」が、仲良く幸せに暮らすこと。 そのはずなのに、僕は今、その目的から外れた「勝ち負け」という土俵の上で戦っている。

そう気づいた時、すっと肩の力が抜けました。

「ごめん。なんだか、どっちが正しいかって話になっちゃってたね。僕たちの目的は、喧嘩に勝つことじゃなくて、家族がうまくいくことだった」

権力争いから、どちらか一方が降りる。 それは「負け」を意味するのではありません。相手を打ち負かすことよりも、もっと大切な「共通の課題」に目を向けるための、勇気ある一歩です。

「どうすれば、二人とも楽になるか」 「どうすれば、もっと楽しくやれるか」

主語を「私」から「私たち」に変えるだけで、見える景色はガラリと変わります。これは、相手を尊重し、対等な仲間として信頼する「横の関係」へのシフトです。

あなたの人間関係にも、「どっちが正しいか」の戦いはありませんか?

その不毛な争いから降りて、二人の「共通の課題」に目を向けてみる。 たったそれだけで、今まで解けなかった問題が、嘘のように解決に向かうことがあります。

もし、戦いのリングから降りる勇気が出なかったり、どうすれば「私たち」の課題にできるか分からなくなったりしたら、ぜひ一度お話ししに来てください。 あなたが、あなたのままで、大切な人と穏やかな関係を築くためのお手伝いをします。

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