「すごいね!」の裏で、心がザワザワする理由

日本アドラー心理学振興会 認定心理療法士、認定心理カウンセラーの田中詠二こと、えいさんです!

子育て、仕事、人間関係の悩みに、心理学の観点から解決のヒントをお届けします。

先日、うちの次男が通う幼稚園の遠足がありました。お弁当を作るのですが、最近はSNSで「#キャラ弁」なんて見ると、本当に芸術的なお弁当がたくさんありますよね。

ここに、Bさんという女性がいます。彼女の友人であるA子さんは、まさにそんな芸術的なお弁当を作るのが得意な、Bさんにとって憧れの存在でした。彼女はいつも、子どものために愛情たっぷりの素敵なお弁当を作っていたのです。

ところがある日、Bさんは別のママ友からこんな話を聞きます。 「A子さんの旦那さん、大きな会社の社長さんなんですって!すごいわよねぇ」

それを聞いた瞬間、Bさんの心の中で、あれほど尊敬していたA子さんの作るお弁当や素敵な暮らしぶりが、急に色褪せて見えてしまいました。そして、自分と比べて「うちは全然ダメだ…」と、心がザワザワしてしまったのです。

このBさんのように、友人の成功を素直に喜べなかったり、誰かと比べて自分が劣っているように感じてしまったり…。

あなたにも、こんな経験はありませんか?

アドラー心理学では、「劣等感」は誰もが持っている自然な感情だと考えます。身長がもっと高ければ、もっとお金があれば、もっと上手に話せたら…こうした感情は、より良く生きたいという「優越性の追求」の裏返しであり、それ自体は成長へのバネになります。

しかし、この劣等感を「どう使うか」が大切です。

「自分なんて、どうせ…」と、人生の課題から逃げるための言い訳に使い始めると、それは健全な劣等感ではなく、「劣等コンプレックス」という不健全な状態になってしまいます。

Bさんの心に浮かんだ「A子さんは社長夫人だからあんなに素敵にできるんだ。それに比べて私は…」という思考。

これは一見するとA子さんと自分を比較しているように見えます。しかし、アドラー心理学の「目的論」で考えると、「社長夫人だから」という理由を使って、「私はA子さんのようには頑張らなくてもいい」と、挑戦しない自分を正当化する目的が隠れているのかもしれません。

私たちは無意識のうちに、他人との間に「縦の関係」を作りがちです。どちらが上で、どちらが下か。この物差しで世界を見ている限り、私たちは常に誰かと競争し、勝ち負けに一喜一憂し、心が休まることはありません。

大切なのは、「横の関係」を築くこと。

あの人にはあの人の良さがあり、私には私の良さがある。課題も違えば、得意なことも違う。社長夫人であろうとなかろうと、同じ人間として、その価値に優劣はない。

そう思えた時、私たちは他人の成功を心から祝福し、自分自身の課題に集中できます。

あなたの心がザワザワするとき。それは、あなたの「ライフスタイル」(人生の設計図)が、あなたに何かを知らせてくれているサインかもしれません。

「どうして私は、人と比べてしまうんだろう?」 「このザワザワした気持ちを、何のために使っているんだろう?」

そんな風に、ご自身の心と向き合ってみませんか?

カウンセリングでは、あなただけの「ライフスタイル」を一緒に読み解き、不必要な劣等感から自由になり、あなたらしい一歩を踏み出すための「勇気づけ」を行っています。

一人で抱え込まず、一度お話を聞かせてくださいね。

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